養老孟司他著『復興の精神』2020年05月28日 18:53

16年 5月22日読了。
 東日本大震災直後に九人の著者に依って書かれた「どのように向き合うべきか」についての随筆集。異口同音に「現場の人は素晴らしいが、統治者や管理者は駄目だ」と言うのが印象に残る。
 養老孟司「戦争で懲りているのです。ああいうときは、『こうしろ』『ああしろ』『言ってはいけない』『やってはいけない』という奴が必ず出てくる。大学紛争のときもそうでした。何か言うと、必ず『敵か味方か』というように決めつけられてしまう」(p.12)。
 曽野綾子「私は地震も津波も、その後の原発事故も、個人の生活の視点から見ることを失ってはいけないと考えていた。小説家が大所高所からものを見るようになり、人道をしきりに口にし、公平や平等でない結果はいかなる混乱の中においても許されないことだ、などと言うようになったら、もう、作家の目は濁っていると思うべきであろう」(p.186)。
 曽野綾子が新聞から引用した、帰らないママへ宛てた四歳の女の子の手紙「ままへ。/いきてるといいね/おげんきですか」(p.190)。

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