円城塔著『ゴジラS.P(シンギュラポイント)』 ― 2023年04月09日 22:49
長編。アニメのノベライズらしいがアニメは見ていない。主題的にも人物造形的にもライトノベルのようなのだが、読んでみればやはり円城塔である。
アーキタイプと名付けられた四次元的な構造を持つ分子の設定が非常に面白い。コンピュータシミュレーション上では安定して存在するが、それを合成する手段が現在の人間にはない。四次元的な操作を必要とするからである。アーキタイプに入射した光は屈折するのだが、その一部は時間方向にも曲がる。つまり、未来から入射した光が過去に出射する。そのため、アーキタイプの中で光を循環させると、同じ光が何重にも重ね合わされて増幅される。こういったアーキタイプの物理学がもっともらしく構築されていて楽しい。こういう嘘科学の構築はSFの醍醐味の一つである。
筋立ては、突如現れた数多くの怪獣たちと人間との戦いという、王道であるが、細部が一々円城塔的に歪んでいる。怪獣たちの体はアーキタイプでできている。ゴジラの体内には物理法則の通用しない特異点がある。あるいはゴジラの本質が特異点である。ゴジラは保存則を無視して急速に質量を増やし、形態を変化させていく。
一般的にエンターテインメントの場合、変わり者を登場させるときには対比として凡庸な常識人を置くものだが、円城塔らしくほぼ全員がエキセントリックである。たとえば神野銘という人物は「発想だけは無闇とあるが、整理整頓の技と、研究成果と呼べるところまで物事を突き詰めていく種類の集中力に欠けている」(p.32)という興味深い性質であるが、物語における役割の重要性の割に描写は少ない。真の主人公はゴジラだからかも知らぬが、主人公と呼べるような中心人物は居らず、描写はみなあっさりしたものである。
これも円城塔らしいのだが、平行宇宙的な別のゴジラの物語の影もちらつき、そこには過去に作成された数多くのゴジラ映画を連想させる部分もあってファンへのくすぐりになっていると同時に、メタフィクション的でもある。
全体としては、ゴジラ映画へのオマージュでありながら、十分に円城塔らしい作品となっている。さて、ここで円城塔らしさとは何かということが問題となるが、じっくり考えるのは面倒なので、とりあえずは「意外な方向へ歪んでいく」こととしておく。
アーキタイプと名付けられた四次元的な構造を持つ分子の設定が非常に面白い。コンピュータシミュレーション上では安定して存在するが、それを合成する手段が現在の人間にはない。四次元的な操作を必要とするからである。アーキタイプに入射した光は屈折するのだが、その一部は時間方向にも曲がる。つまり、未来から入射した光が過去に出射する。そのため、アーキタイプの中で光を循環させると、同じ光が何重にも重ね合わされて増幅される。こういったアーキタイプの物理学がもっともらしく構築されていて楽しい。こういう嘘科学の構築はSFの醍醐味の一つである。
筋立ては、突如現れた数多くの怪獣たちと人間との戦いという、王道であるが、細部が一々円城塔的に歪んでいる。怪獣たちの体はアーキタイプでできている。ゴジラの体内には物理法則の通用しない特異点がある。あるいはゴジラの本質が特異点である。ゴジラは保存則を無視して急速に質量を増やし、形態を変化させていく。
一般的にエンターテインメントの場合、変わり者を登場させるときには対比として凡庸な常識人を置くものだが、円城塔らしくほぼ全員がエキセントリックである。たとえば神野銘という人物は「発想だけは無闇とあるが、整理整頓の技と、研究成果と呼べるところまで物事を突き詰めていく種類の集中力に欠けている」(p.32)という興味深い性質であるが、物語における役割の重要性の割に描写は少ない。真の主人公はゴジラだからかも知らぬが、主人公と呼べるような中心人物は居らず、描写はみなあっさりしたものである。
これも円城塔らしいのだが、平行宇宙的な別のゴジラの物語の影もちらつき、そこには過去に作成された数多くのゴジラ映画を連想させる部分もあってファンへのくすぐりになっていると同時に、メタフィクション的でもある。
全体としては、ゴジラ映画へのオマージュでありながら、十分に円城塔らしい作品となっている。さて、ここで円城塔らしさとは何かということが問題となるが、じっくり考えるのは面倒なので、とりあえずは「意外な方向へ歪んでいく」こととしておく。
コメント
_ ドラゴン竜 ― 2023年11月11日 11:24
自分も小説を買って読みました。読んでて疑問に思ったのですが、「それ」がこの宇宙に存在することで体を獲得し、宇宙へと影響力を行使することができるようになったわけだが、同時に物質の重さ、時間の流れ、重力のやりとりに影響されることともなった。いずれはそれらも破壊するとして今は折り合いを付けておく段階であったと書かれていますが、この破壊する範囲って地球だけなのか、それとも宇宙全体なのかわからないんですけど、かすてらさんはどっちだと思いますか?
_ かすてら ― 2023年11月11日 22:26
一般的な答えとしては次のようになります。
「今のところは何とか折り合いがついているが、いざ破壊が始まればそれは同心球状に光速で宇宙全体に広がっていく、と推測される」
うっかり「光速で」などと書きましたが、アーキタイプは四次元的に振る舞うので、距離を時間で除算する「速度」というものは意味を持たないかもしれませぬ。つまり、瞬時に全宇宙が破壊される可能性もあります。
ただ、虚構に関しては「何が正しいか」という問いはあまり意味を持ちません。意味のある問い方としては「どうだったら面白いか」でしょう。「正しさ」は唯一の答えを求めますが、「面白さ」は複数同時に成立することを許します。あれも面白いこれも面白い。妻は一人しか持てないのに愛人は複数持てることと似ているかもしれません。似ていません。
ドラゴン竜さんはどうだったら面白いと思いますか。
「今のところは何とか折り合いがついているが、いざ破壊が始まればそれは同心球状に光速で宇宙全体に広がっていく、と推測される」
うっかり「光速で」などと書きましたが、アーキタイプは四次元的に振る舞うので、距離を時間で除算する「速度」というものは意味を持たないかもしれませぬ。つまり、瞬時に全宇宙が破壊される可能性もあります。
ただ、虚構に関しては「何が正しいか」という問いはあまり意味を持ちません。意味のある問い方としては「どうだったら面白いか」でしょう。「正しさ」は唯一の答えを求めますが、「面白さ」は複数同時に成立することを許します。あれも面白いこれも面白い。妻は一人しか持てないのに愛人は複数持てることと似ているかもしれません。似ていません。
ドラゴン竜さんはどうだったら面白いと思いますか。
_ ドラゴン竜 ― 2024年03月17日 19:11
自分と同意見です。あともう一つあるのですが、オーソゴナル・ダイアゴナライザーの効果について小説ではアーキタイプの高次元成分と現実世界を直交させるとありましたが、高次元の時点で3次元世界と直交しているのでは?(クモンガの触角の説明でもこの世界を構成する4次元時空と直交して伸びている無数の次元とありました)と思ったんですが、ここでいう直交させるとはどういう意味になるのでしょうか?
_ かすてら ― 2024年03月17日 22:38
これも一般的には「何らかの高次元空間の座標の原点を、我々の三次元空間、あるいは四次元時空の原点と一致させる」というようなことでしょうか。生成AIなどでよく「何百次元もある座標系でデータ間の距離を測る」というようなことが言われますが、ああいうのは数学的には「すべての座標軸が原点で直交している」と考えていいんですよね。
ただ「直交させる」という言い方から推測するに、それ以前に「直交していない」状態があるはずで、ドラゴン竜さんの疑問もそこですよね。複数の座標系が直交せずに例えば「並行している」状態とか、「斜交している」状態とか。それを人間の頭で思い浮かべるのは困難ですが、数学的には意味があるんでしょうか。
ただ「直交させる」という言い方から推測するに、それ以前に「直交していない」状態があるはずで、ドラゴン竜さんの疑問もそこですよね。複数の座標系が直交せずに例えば「並行している」状態とか、「斜交している」状態とか。それを人間の頭で思い浮かべるのは困難ですが、数学的には意味があるんでしょうか。
_ (未記入) ― 2024年03月18日 21:27
次元って3次元→4次元→5次元みたいに順に接続されているという感じでは無いということでしょうか?
例えばアーキタイプが10次元の物質だとしたら、本来は3次元と10次元を繋げられないけど、オーソゴナル・ダイアゴナライザーがあれば繋げれるようになるみたいなことなんでしょうか?
例えばアーキタイプが10次元の物質だとしたら、本来は3次元と10次元を繋げられないけど、オーソゴナル・ダイアゴナライザーがあれば繋げれるようになるみたいなことなんでしょうか?
_ かすてら ― 2024年03月18日 22:35
私にはむしろ、一次元ずつ順次接続されていく、という着想がありませんでした。びっくり。フラクタル理論では、1.5次元とか整数ではない次元も出てくるから、離散的ではなく、連続して変化していく次元というのも考えられかもしれません。
三次元と十次元が本来繋げられないかどうか、に関しては、「本来」がどこにあってどういうものなのか、がわからないのでわかりませぬ。超ひも理論では、三次元の中に折りたたまれた九次元のひも、などもでてきますが、これも私の頭ではもはやわかりませぬ。
三次元と十次元が本来繋げられないかどうか、に関しては、「本来」がどこにあってどういうものなのか、がわからないのでわかりませぬ。超ひも理論では、三次元の中に折りたたまれた九次元のひも、などもでてきますが、これも私の頭ではもはやわかりませぬ。
_ (未記入) ― 2024年03月19日 19:03
わざわざ回答していただき何度もすいません。もう一つ質問あるのですが、小説内でゴジラが吐く炎でこの世を灼いて、それ以降ゴジラに勝てるものはこの世に存在しないって書かれていましたが、この文を見る限りゴジラって破局後の世界でも存在しているのでしょうか?
別のページで破局で自らの存在も灼き尽くすとも書かれていたので気になりました。
別のページで、破局で自らの存在も灼き尽くすとも書かれていたので気になりました。
別のページで破局で自らの存在も灼き尽くすとも書かれていたので気になりました。
別のページで、破局で自らの存在も灼き尽くすとも書かれていたので気になりました。
_ かすてら ― 2024年03月19日 22:34
単純な論理でいうと、「この世」は「存在」の前提となりますから、この世がなければ何物も存在することはできません。しかし、ここら辺の理屈は、この世とは何で、存在とはどういう状態をいうのか、という考え方の違いでいろいろと変わってくるでしょう。
例えば、「私」の存在は、私自身にとっては誰とも違う特別な存在ですが、他人から見れば大勢いる人間の一人にすぎません。そういう私の特別さは、私には存在するが他人には存在しない、と言えます。……何を言っているのか自分でもわからなくなってきた。
おそらく、この作品におけるゴジラのあり方は、私たちが一般的に使う「存在」とは違うので、うまく言い表せない。うまく表す言葉がない、ということでしょう。だから無理に表そうとすると矛盾した表現になるのではないでしょうか。
質問していただくのは全然かまいません。むしろ歓迎しますが、私に質問しても何も解決しません。むしろわからないことが増えるはずです。半ば意図的半ば無意識なのですが、わからない方が面白いと思っているからです。
アニメの『エヴァンゲリオン』の功績の一つは、「わからないことは面白い」ということを広く世に知らしめたことにある、と思っているのです。
例えば、「私」の存在は、私自身にとっては誰とも違う特別な存在ですが、他人から見れば大勢いる人間の一人にすぎません。そういう私の特別さは、私には存在するが他人には存在しない、と言えます。……何を言っているのか自分でもわからなくなってきた。
おそらく、この作品におけるゴジラのあり方は、私たちが一般的に使う「存在」とは違うので、うまく言い表せない。うまく表す言葉がない、ということでしょう。だから無理に表そうとすると矛盾した表現になるのではないでしょうか。
質問していただくのは全然かまいません。むしろ歓迎しますが、私に質問しても何も解決しません。むしろわからないことが増えるはずです。半ば意図的半ば無意識なのですが、わからない方が面白いと思っているからです。
アニメの『エヴァンゲリオン』の功績の一つは、「わからないことは面白い」ということを広く世に知らしめたことにある、と思っているのです。
_ (未記入) ― 2024年03月24日 13:41
何度も本当にすいません。この質問で最後にしますが、破局のページでゴジラがこの世界を灼き尽くし、隣の世界をも灼き尽くし、未来、現在ついでに過去をも灼き尽くすことも・・・と書かれていましたが、この隣の世界って何を表しているとみるのが普通なんでしょうか?
多元宇宙?それとも多世界解釈の並行世界?
多元宇宙?それとも多世界解釈の並行世界?
_ かすてら ― 2024年03月24日 23:17
前のコメントでも言いましたが、質問はむしろ歓迎します。普通は、と訊かれるなら、SF的な平行宇宙(パラレルワールド)と読むのが普通でしょうが、量子力学的な多世界解釈と読んでも、宇宙論的なマルチバースと読んでも、大筋は変わらないと思います。私のイメージは、ゴジラは複数の世界にまたがって存在する高次元的構造物で、我々というか登場人物たちが見ているのはその三次元的断面である、という感じです。
_ (未記入) ― 2024年03月25日 00:19
この複数の世界というのは上で言う隣の世界も含めるということでしょうか?
_ かすてら ― 2024年03月25日 21:47
そうです。
_ かすてら ― 2024年03月25日 21:53
それから、私の多元宇宙のイメージは、隣の宇宙、その隣の宇宙、そのまた隣という離散的なイメージではなく、連続的なイメージです。多元宇宙にもプランク長さやプランク時間のような離散性がある、というのも面白いイメージですが。
_ (未記入) ― 2024年03月25日 22:25
上の質問でも言いましたが、ゴジラがこの世界を灼き尽くし、隣の世界をも灼き尽くし、未来、現在、ついでに過去をも灼き尽くすことも・・・とありましたが、この隣の世界や未来現在過去ってどこまでの範囲を示しているのでしょうか?
この世界は劇中のSP世界のことですよね?
この世界は劇中のSP世界のことですよね?
_ かすてら ― 2024年03月26日 22:00
現代の物理学や宇宙論では、我々が住んでいるこの時空は有限です。つまり、空間は閉じており、時間には始まりと終わりがある。この時空に限って言えば、ゴジラが破壊するのはその全てでしょう。隣の宇宙など、この時空の外に関しては、多元宇宙の広がりは無限と考えられますから、ゴジラを中心にした有限の範囲が破壊される、というのがイメージしやすいです。まあ、多元宇宙の構造は私たちがイメージできるようなものではないでしょうが。
「この世界」は、この作品の世界と考えるのが自然ですが、この作品の世界の登場人物たちにとっては現実の世界です。そして、我々の住む現実の世界が、この作品世界の隣にあれば、とばっちりを受けてゴジラに一緒に破壊されるでしょう。
「この世界」は、この作品の世界と考えるのが自然ですが、この作品の世界の登場人物たちにとっては現実の世界です。そして、我々の住む現実の世界が、この作品世界の隣にあれば、とばっちりを受けてゴジラに一緒に破壊されるでしょう。
_ (未記入) ― 2024年03月30日 17:41
もし隣の世界が多元宇宙ではなく多世界解釈で分岐した世界とした場合、ゴジラが存在している間は宇宙は分岐するのでしょうか?
小説内ではゴジラが無数の未来の可能性を見通す時にコペンハーゲン解釈のような描写がありましたが。
小説内ではゴジラが無数の未来の可能性を見通す時にコペンハーゲン解釈のような描写がありましたが。
_ かすてら ― 2024年03月30日 22:18
多世界解釈なら、分岐すると考えるのが普通じゃないでしょうか。というか、分岐すると考えるのが多世界解釈で、集束すると考えるのがコペンハーゲン解釈だと思ってました。その辺についてはもっと物理学に詳しい人に聞いてください。
集束するにしても分岐するにしても、ある主体の視点から見ると、一つの世界が選択されるので、同じように見えるでしょう。というか、そのような「見え方」をどう解釈するかが、多世界解釈とかコペンハーゲン解釈とかになるわけですが。
問題は、高次元構造体であるゴジラには時間がどう見えているか、ですが、うーむ。無限に分岐する世界から一つの世界が選択されるのではなく、ある幅を持って複数の世界が選択される、というのはどうでしょうか。つまり、一つのゴジラの主観が複数の世界を同時に認識している。人間だったら狂人扱いされますが。
「あ、今、別の世界の俺が死んだ」
病院に連れて行かれるでしょうなあ。
集束するにしても分岐するにしても、ある主体の視点から見ると、一つの世界が選択されるので、同じように見えるでしょう。というか、そのような「見え方」をどう解釈するかが、多世界解釈とかコペンハーゲン解釈とかになるわけですが。
問題は、高次元構造体であるゴジラには時間がどう見えているか、ですが、うーむ。無限に分岐する世界から一つの世界が選択されるのではなく、ある幅を持って複数の世界が選択される、というのはどうでしょうか。つまり、一つのゴジラの主観が複数の世界を同時に認識している。人間だったら狂人扱いされますが。
「あ、今、別の世界の俺が死んだ」
病院に連れて行かれるでしょうなあ。
_ (未記入) ― 2024年04月03日 21:15
小説の別の部分ではゴジラが時間と空間の中を進んで世界の裏側から滑り出してきたとありましたが、時間と空間の中と世界の裏側ってどういうことなんでしょうか? 5次元時空や6次元時空のことなんでしょうか?
_ かすてら ― 2024年04月03日 21:24
さまざまに伸び縮みしたり歪んだりしたとしても、時空の中は中でしょうけど、難しいのは、裏側のイメージですよね。時空の外側なんだけど、離れてはいなくてくっついている、という感じでしょうか。そして、靴下を裏返すようにひっくり返せば、表と裏は入れ替わりますよね。
_ (未記入) ― 2024年04月04日 17:48
前の質問で「それ」がこの宇宙に存在することで宇宙へと影響力を行使することができるようになったとありますが、この宇宙への影響力って具体的に何を表しているのでしょうか?
あと隣の世界は並行世界ではなく隣の星(例えば火星や金星)を指している可能性もあるのでしょうか?
あと隣の世界は並行世界ではなく隣の星(例えば火星や金星)を指している可能性もあるのでしょうか?
_ かすてら ― 2024年04月04日 21:57
単純に字義通りに解釈すると、影響力というのは、意識的であれ無意識的であれ影響を及ぼす能力ですから、この場合は、関係することができるようになった、「因果地平の内側に入った」というような意味ではなかろうかと思います。つまり、それ以前は因果地平の外側に居た、ということでは。ワームホールの中から出てくる、などというのはイメージとして陳腐すぎますが。
話の流れから言うと、隣の世界は惑星でも銀河でもなく、隣の宇宙と考えるのが自然ですし、その方が面白いと思います。
話の流れから言うと、隣の世界は惑星でも銀河でもなく、隣の宇宙と考えるのが自然ですし、その方が面白いと思います。
_ (未記入) ― 2024年04月05日 03:22
ありがとうございます。あともう一つ疑問に思ったことがありまして、クモンガの説明で複数の目でこの世を含む宇宙を見ている。(クモンガの)触角はこの世界を構成する縦横奥行き3つの次元と流れゆく1つの次元のみならず、それらと直交して伸びる無数の次元とも接続されていると書いてありましたが、ここでいうこの世、宇宙、無数の次元はどういうニュアンスなんでしょうか?
_ かすてら ― 2024年04月05日 22:22
この世界に直交する高次元については、すでに述べたことの繰り返しになりますが、次元、すなわち座標系というものは、原点で直交せざるを得ず、原点で直交していない座標は、別の座標系である、というのが私の理解です。しかし、現代数学ではもっと面白い理論がありそうな気がします。これも前に私が出まかせに言った「直交せずに斜交する座標」というようなものも、真面目に議論されていないとも限りません。数学には詳しくないので知りませんが。
_ (未記入) ― 2024年04月22日 22:40
あとゴジラがこの世界、隣の世界、未来、現在、そして過去をも灼き尽くす可能性があると書いてありますが、この順番的に(隣の世界を並行世界だとすると)、並行世界よりも時間の方がスケールが大きいということなんでしょうか?
あとこの未来、現在、過去ってどの範囲まで指しているのでしょうか?
あとこの未来、現在、過去ってどの範囲まで指しているのでしょうか?
_ かすてら ― 2024年04月23日 21:50
一般に、座標というものは正負いずれの方向にも無限に延長できるので、ある座標が別の座標よりスケールが大きいということはないと思います。無理していえば、空間は三次元で時間は一次元だから、量的にはともかく、質的に空間のほうが大きいというか、方向がたくさんある、とは言えます。
影響の範囲に関して言えば、一般的には、同心球状に広がる相互作用の強さは、三次元空間の場合、距離の二乗に反比例して弱くなります。三次元以上の座標空間であっても、それぞれ距離に応じて弱まっていくはずです。しかし、この作品では時間的なループによる増幅の仕組みが示唆されているので、影響範囲は「無限」である可能性もあります。
影響の範囲に関して言えば、一般的には、同心球状に広がる相互作用の強さは、三次元空間の場合、距離の二乗に反比例して弱くなります。三次元以上の座標空間であっても、それぞれ距離に応じて弱まっていくはずです。しかし、この作品では時間的なループによる増幅の仕組みが示唆されているので、影響範囲は「無限」である可能性もあります。
_ (未記入) ― 2024年04月25日 22:18
あと小説の最後らへんで「ゴジラが吐く炎はこの世、有川ユン、シヴァをも灼くことになる。それ以降、ゴジラを倒せるものはこの世に存在しなかった。特異点無しでゴジラに勝てるはずもないし、その特異点は新たなゴジラの名に変わる時が近づいていた。」とありましたが、この文章の意味としてゴジラが吐く炎を破局と仮定した場合、破局を起こした後もこの世は残るということでしょうか?それとも違いますか?
ニュアンスはどういった感じになるのでしょうか?
ニュアンスはどういった感じになるのでしょうか?
_ かすてら ― 2024年04月26日 21:25
破局とは何でしょうか。破局をこの世の終わりと考えると、「ゴジラが吐く炎を破局と仮定」すると、それ以後「この世」は存在しなくなってしまうので、ゴジラの吐く炎は破局ではなく、特異点とゴジラが一致することで破局が約束される、と読むべきではないでしょうか。ここでいうこの世とはどの世かという問題は残りますが。ニュアンスというような微妙なことは私にはわかりかねまする。
_ (未記入) ― 2024年04月27日 14:24
つまりゴジラの炎は破局につながる現象ということであり、破局そのものではないという感じで合っていますか?
あと小説内で「それ」があちらこちらの水面(ここでいう水面は宇宙の果てや世界の限界と同じ意味)に背を浮かび上がらせる存在と書かれていましたが、このあちらこちらというのは一つの宇宙の色んな箇所ということなのか、それとも複数ある宇宙のことを指しているのか、どちらの方の解釈が合っていますか?
あと小説内で「それ」があちらこちらの水面(ここでいう水面は宇宙の果てや世界の限界と同じ意味)に背を浮かび上がらせる存在と書かれていましたが、このあちらこちらというのは一つの宇宙の色んな箇所ということなのか、それとも複数ある宇宙のことを指しているのか、どちらの方の解釈が合っていますか?
_ (未記入) ― 2024年04月27日 14:27
あと特異点とゴジラが一致するとはどんな現象になりますか?
何度も質問してしまい本当に申し訳ありません。
何度も質問してしまい本当に申し訳ありません。
_ かすてら ― 2024年04月27日 22:40
繰り返し「合っていますか」とお尋ねですが、私は「どのように考えることが可能か」とか「どう考えたら面白いか」という答えを探しているので、合っているかどうかを問われてもわかりません。そもそも小説、つまり虚構作品(嘘っぱちと言っても良い)において「合っている」というのはどういうことなのかわかりません。たぶんそういう問い方は間違っているのじゃないでしょうか。著者がどう考えているか、なら、私ではなく著者に聞いてみてください。
普通に文章を読めば「ゴジラの吐く炎」という言葉から思い浮かべるのは物理的な破壊力です。「破局」という言葉から思い浮かべるのは、破壊が積み重なった末に現れる、修復不可能な局面、という感じじゃないでしょうか。エントロピー極大というか。ゴジラの存在そのものが破壊の神みたいなイメージで、ゴジラと特異点が一致したところで破局は不可避になる、というイメージ。
多少宇宙論の知識がある者が「宇宙の果て」と聞くと、どうしても「時空の地平面」を思い浮かべてしまいますが、いろんな宇宙にいろんな「果て」があるんじゃないでしょうかね。そして、我々の宇宙にも、まだ知られていない「果て」があって、ある時突然目の前に立ちはだかったりするんじゃないでしょうか。
物理学の用語としては「特異点」というのは、我々の知っている物理法則が通用しない場所、のことだと思います。特異点は通常ブラックホールの中などに閉じ込められていて、むき出しの状態で普通の宇宙と触れ合うことはないとされています。ゴジラと特異点が一致すると、ゴジラがむき出しの特異点そのものとなって、物理法則に矛盾が生じる、例えば、超光速が出てきたり、保存則が破れたりして、宇宙全体が不安定になり、崩壊へと突き進む、というようなことを想像します。
普通に文章を読めば「ゴジラの吐く炎」という言葉から思い浮かべるのは物理的な破壊力です。「破局」という言葉から思い浮かべるのは、破壊が積み重なった末に現れる、修復不可能な局面、という感じじゃないでしょうか。エントロピー極大というか。ゴジラの存在そのものが破壊の神みたいなイメージで、ゴジラと特異点が一致したところで破局は不可避になる、というイメージ。
多少宇宙論の知識がある者が「宇宙の果て」と聞くと、どうしても「時空の地平面」を思い浮かべてしまいますが、いろんな宇宙にいろんな「果て」があるんじゃないでしょうかね。そして、我々の宇宙にも、まだ知られていない「果て」があって、ある時突然目の前に立ちはだかったりするんじゃないでしょうか。
物理学の用語としては「特異点」というのは、我々の知っている物理法則が通用しない場所、のことだと思います。特異点は通常ブラックホールの中などに閉じ込められていて、むき出しの状態で普通の宇宙と触れ合うことはないとされています。ゴジラと特異点が一致すると、ゴジラがむき出しの特異点そのものとなって、物理法則に矛盾が生じる、例えば、超光速が出てきたり、保存則が破れたりして、宇宙全体が不安定になり、崩壊へと突き進む、というようなことを想像します。
_ (未記入) ― 2024年04月30日 15:28
ちなみに小説内で日本沖で新たな特異点が出現した際に、李やBBが特異点はこの次元に限られた存在しゃない、どこまで手を伸ばしてどこに出現しても不思議じゃないと言っていたらしいですが、つまりこの通りだとすると特異点は4次元時空だけでなくその上の様々な高次元にも繋がっているということでしょうか?
_ かすてら ― 2024年05月01日 22:03
特異点の高次元的構造などというものは、並の人間には思い浮かべるのは困難なのですが、無理に想像すれば、この小説に登場した特異点は、実は点ではなく、多くの並行宇宙を貫く広がりを持っている、ということでしょう。まあ、私たちの住む現実世界の特異点だって、空間的広がりを持たずに位置だけがある「点」だとは限らないとも思いますが。
_ (未記入) ― 2024年05月11日 19:50
あと劇中で出現したラドンやアンギラス、クモンガ、マンダはゴジラ及びアーキタイプ由来で生まれたとありましたが、一方でサルンガはどういった経緯で生まれたのでしょうか?少なくともゴジラとは無関係で生まれていますよね。
_ かすてら ― 2024年05月11日 21:49
申し訳ない。その辺の細部はもう覚えておりませぬ。サルンガはなんだか縦穴を這い上っていたようなぼんやりした記憶がありますが。
_ (未記入) ― 2024年05月21日 19:40
ごめんなさい、この質問で最後にしようと思います。
小説内でまだ水中期のゴジラがマンダの噛みつき攻撃を事実を操作する感じで無効化(マンダからしたら噛みついてるのに噛みついていない状態)させていましたが、アニメ版でのウルティマ状態のゴジラに同じくマンダが噛み付いてた時は、普通に噛みつき攻撃を喰らった感じ(出血もしている)になっていたのは、何故なんでしょうか?
小説内でまだ水中期のゴジラがマンダの噛みつき攻撃を事実を操作する感じで無効化(マンダからしたら噛みついてるのに噛みついていない状態)させていましたが、アニメ版でのウルティマ状態のゴジラに同じくマンダが噛み付いてた時は、普通に噛みつき攻撃を喰らった感じ(出血もしている)になっていたのは、何故なんでしょうか?
_ かすてら ― 2024年05月21日 21:46
「噛みついてるのに噛みついていない状態」をアニメで表現できたら素敵だな、とは思いますが……。
_ (未記入) ― 2024年05月23日 18:14
ちなみに破局のページで、ゴジラはこの世界を灼き尽くし、隣の世界をも灼き尽くし、未来、現在をついでに過去をも灼き尽くすこともなしとはできず・・・とありまして、あくまでも可能性があるという感じで書かれていましたが、かすてらさん自身はゴジラがこれらの事を実際に行えると思いますか?
前回で最後って言ったのにまだ質問があって申し訳ありませんが・・・
前回で最後って言ったのにまだ質問があって申し訳ありませんが・・・
_ かすてら ― 2024年05月23日 21:25
この作品の流れで行くと、できない理由は思いつきません。
_ かすてら ― 2024年05月23日 21:31
できるできないというより、するかしないか、という問題の方が大きい。世界は、ゴジラがその気になればいつでも滅びる、という危うさが、足元がすーすーする感じでよいと思います。
_ (未記入) ― 2024年05月28日 23:27
ちなみに破局起こせば物質の重さや時間の流れ、重力のやりとりといったものが破壊されるそうですが、これっていわゆる時間が停止した世界みたいになるんですかね?
_ (未記入) ― 2024年05月28日 23:34
それこそ円城塔さんのself-reference engine と同じように時間が凍結するみたいな。
_ かすてら ― 2024年05月29日 21:48
イメージとしては、破壊は停止とは違うんじゃないでしょうか。壊れた時計と止まった時計は微妙に違うというか。「self-reference engine」は、読んだのが昔過ぎて何も覚えていません。
_ (未記入) ― 2024年05月29日 23:06
アニメ劇中でも破局により世界が停止してしまう可能性があるというセリフがありました。
_ かすてら ― 2024年05月30日 22:02
アニメは見ていないので知りませんが、「破局による世界が停止する可能性」というセリフはあまりもあいまいで、どうにでも解釈できすぎて、どっちの方向に考えたら面白いか、判断できません。
あいまいというのは、次のようなことです。破局と世界の停止は因果関係なのか同じことなのか。世界の停止とは時間の停止を指しているのか。可能性があるというのは、そうなる確率が高いと言っているのか、わずかだがそうなる確率があると言っているのか、などです。
あいまいというのは、次のようなことです。破局と世界の停止は因果関係なのか同じことなのか。世界の停止とは時間の停止を指しているのか。可能性があるというのは、そうなる確率が高いと言っているのか、わずかだがそうなる確率があると言っているのか、などです。
_ (未記入) ― 2024年06月17日 19:56
比喩の説明でわからない所があったのですが、細胞の章の所で「これら」(東京異界の植物)の存在意義の説明で生き物のありようを決定してからその生物を生み出すのに適した宇宙を探すのに似ていたとありますが、この例えって具体的にどういう意味なのでしょうか?
高次元存在を生み出させる宇宙ということですか?
高次元存在を生み出させる宇宙ということですか?
_ かすてら ― 2024年06月17日 22:38
すいません、その部分も含めてもうよく覚えていないのですが、「生き物のありようを決定してからその生物を生み出すのに適した宇宙を探す」という文章だけから想像するに、「普通は宇宙が先にあってそれに適応した生物が進化するのに、ここでは順序が間違っている」ということを言っているのではないでしょうか。因果関係の混乱。
_ (未記入) ― 2024年07月11日 14:48
最後に特異点についてだけお聞きしたいことがあるのですが、小説内で「特異点は卵のようなものであり、ゴジラを別の宇宙に向けて孵化させる器でしかない」、「その特異点はゴジラの名に変わる時が近づいていた」などのセリフがありますが、ここでいう特異点というのは何を表していると見るのが妥当なのでしょうか?
_ かすてら ― 2024年07月11日 21:19
物理学的には特異点とは「物理法則が通用しない場所」ということなので、どのようにでも想像することができますが、この小説で面白いところは、怪獣たちは時間を超える存在である、というところです。つまり、特異点が卵でゴジラが鶏だとしても、卵が原因で鶏が結果とは限らない。もちろんこれは鶏が卵を産むというような話ではなく、未来の存在であるゴジラが、過去の存在である特異点を要請した、という可能性が考えられる、ということです。私は特に「因果関係の混乱」という主題に引き付けられる性質があるのですが、それぞれの読者が様々な可能性を考えてみてほしいと思います。
_ (未記入) ― 2024年07月14日 14:25
最後、最後と言いましたが、まだ質問が続きそうですいません。
もしこれ以上はやめて欲しいなら、遠慮なく断ってください。
もしこれ以上はやめて欲しいなら、遠慮なく断ってください。
_ かすてら ― 2024年07月14日 21:37
私も楽しんでいるから大丈夫ですよ。
一冊でこれくらい遊べれば本は安いですね。
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