『劉慈欣短編集 円』2023年04月04日 22:17

 「円円のシャボン玉」を除くと、単純なハッピーエンドはない。半分よく半分悪い結末、葛藤の末に元に戻っただけ、完全な破滅など、後味の良くない終わり方が多い。ユーゴスラビア空爆やイラク戦争をモデルにした話もある。もともとSFは皮肉や風刺に傾きやすいのだが、今の時代、悲観的になりがちなのはどこでも同じであろう。
 重苦しい話の多い中、ユーモラスな雰囲気に満ちた「詩雲」が俺好み。ここでも人類は宇宙の超越的種族に家畜化されているのだが、その支配種族の一人が漢詩に取り憑かれ、李白を超える詩を作ろうとして無茶なことをする。

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