メアリー・ノートン著『川をくだる小人たち』2020年04月07日 21:07

16年 2月19日読了。
 安住の地を探す小人家族の冒険の旅の物語。お母さんのホミリーが大変に面白い。何時もは泣き言ばかり言い、悲観的な予想で皆の意気を消沈させ、足手纏いに成るばかりなのに、不安や恐怖がある閾値を超えると、諦めが付いてしまうのか、突然冷静に成り、実際に役に立つかどうかはともかく、妙に頼もしげに成る。
 生きるための様々な技術を身に付けたお父さんは思慮深い人物だが、娘のアリエッティから見ると旧弊で頑な処もある。アリエッティはとても賢いが、子供らしい奔放さと好奇心に満ちて、少し思慮の浅い軽率さもある。野生児のスピラーは、かなり極端なサバイバル状況に於いてのみだが、殆ど理想的な技術と判断力を示す。
 楽しい組み合わせだが、作家が初めから計算して設計したのか、書いている内にそうなってしまったのかは判らない(でも多分後者)。全てが巨大に見える小人の視点や、薬缶の宿にナイフ箱の船といった人間の作った物の転用の面白さも何時も通り。
追記 ♪お椀の船に箸の櫂、という日本の一寸法師を、著者は知っていただろうか。

映画『銀の匙 Silver Spoon』2020年04月06日 22:22

16年 2月18日視聴。
 原作は大ヒット漫画だが未読。可愛らしい、良い映画であった。賞を取るような映画よりも、こういう映画が沢山あれば良いとよく思う。ホームランではなくヒットを量産せよという事はイチローに成れと言っている訳で、却って難しいのかも知らぬ。こう言っては失礼だが、意外にも吹石一恵が良かった。ばんえい馬はでかいと改めて思う。

映画『ルーザーズ』2020年04月05日 21:08

16年 2月17日視聴
 元特殊部隊の男達が主人公のアクション映画。登場人物が多いにも拘らず良く描き分けられている。陰謀在り、潜入在り、裏切り在りで退屈させない。アクション・デザインとしては、アクションその物よりも、小道具やトリックなどが工夫されていて面白い。比べちゃ悪いが『ソルト』よりも数段面白かった。

映画『ソルト』2020年04月04日 21:50

16年 2月15日読了。
 アンジェリーナ・ジョリー主演のスパイアクション。主人公の行動原理が最後に成るまで明かされないので、観客の興味が持続するが、主人公の内面が判らぬ故に感情移入はできない。感情移入し易い視点的人物を一人設定した方が良かったのでは。アクション・デザインはあんまり面白くない。最初の暗殺場面の、床を抜いて標的を落っことす処以外に見るべき物はなかった感じ。

メアリー・ノートン著『野に出た小人たち』2020年04月03日 21:48

16年 2月15日読了。
 小人達の話が始まるまでの導入部が、年老いたトムと幼いケイトの交流が描かれていてなかなか良い。小人達の冒険は一種のサバイバルだが、一見頑に見えるホミリーが奇妙な柔軟さを見せるのが面白い。どうするのが正解という解答が見出せずに、迷いを残したまま終わるのも児童文学らしくなくて面白い。迫りくる冬という問題を解決するのが小人達の努力や知恵ではなく、ある種の偶然であるのは、ちょっとカタルシスが弱いが、努力が報われないのも児童書らしくない。小人達を救う少年は前巻にも出て来たが、二人共、単純に純真で善良な理想化された子供ではなく、子供らしい利己心も持っている処はなかなかリアル。