藤井太洋著『まるで渡り鳥のように』2026年02月27日 21:43

 短編集。科学技術の未来や、未来の人間社会を描いたものが多い。人類の現状を鑑みるに不安になる要素ばかりだが、著者の作品にはいつも希望が残されている。以前、俺は著者について「日本SF会の楽観担当」と呼んだことがあるが、芯から楽観的なのか、「せめて虚構の中では希望を」と考えて意識してそうしているのかはわからない。「オウムの夢と操り人形」などはその典型で、批判的に語られることが多い「イライザ問題」に、希望の持てる結末を付けている。俺が一番好きなのは巻末の「祖母の龍」で、伝統的な知恵としての民族舞踊が、太陽コロナという宇宙の現象と共鳴する話である。

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