大森望編『NOVA2023年夏号』2023年09月08日 22:26

 女性作家のみによるSFアンソロジー。まあ、読んでるときは意識しなかったが。読み終わった今も、女性だからどう、という感じはない。むしろ、フェミニズムやジェンダーを意識させる要素がないな、という感じ。
 俺が一番面白かったのはやはり、というか、高山羽根子「セミの鳴く五月の部屋」。あるゲームをしている人たちがいる。実はそんなゲームが存在しているのかどうか判らないらしいのだが、勝手に「ゲームを読み取って」プレイしているようなのである。さまざまなインターネットの書き込みや、町内の掲示板、街の落書きなどに、ないかもしれない意味や法則性を無理矢理に解釈して、順々にたどっていく迷路か宝探しのようなゲーム。奇妙な遊びだが、プレイヤーたちが楽しんでいるだけならそれで良い。
 ところが、メッセージの解釈を間違えた者が無関係なところへ訪ねて行くことがある。それも、間違い電話のように繰り返し。主人公の部屋には、インターホンを押して「五月にセミは鳴くか」と訪ねてくる謎の人物が入れ替わり立ち代わりに繰り返しやって来る。
 存在しないかもしれないゲームをプレイする。

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