ジュディス・ラパポート著『手を洗うのが止められない 脅迫性障害』2020年01月10日 17:59

15年10月 5日読了。
 強迫性障害という神経症の一般向け解説書。これは自分でもおかしいと十分判りながら、せずにいられない行動、どうしても頭から追い払えない思考の障害。タイトルの「手を洗うのが止められない」はその最も一般的な症状。酷い人は一日に何時間も手を洗いシャワーを浴びる。
 また、確認ばかりしている患者達も居る。電灯を消したかどうか、ドアに鍵がかかっているかどうかを何十回も調べる。バランスをとらずにいられない患者も居る。靴紐の長さは左右同じでなければならないし、眉毛も一本一本に到るまで左右同じでなければならない。
 強迫性障害の症状には共通点がある。それは自分の判断力が信じられないという事である。もう汚れてはいない、鍵はかかっていると、それを確かめた自分の目が信じられないのだ。何度確かめても不安に成って調べ直し、数え直す。理性(って何だ?)では自分のやっている事が無意味だと判っていながら、奇妙な行動を繰り返させる内からの「突き上げ」は実に強力で逆らえない。
 症例の多様さに惹き付けられる。俺の印象に強く残ったのは、自分の部屋が散らかるのが嫌で公園で眠る事にした弁護士の話である。
 この障害は幼児体験などに基づく心理的な物ではなく、脳の病気であるらしい。心理療法よりも薬や行動療法が治療効果があるという。

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