辻直四郎・渡辺照宏訳『ジャータカ物語 インドの古いおはなし』2023年11月25日 21:59

 岩波少年文庫。『ジャータカ』は、仏陀の前世の説話を集めたもの。パーリ語で書かれ、五四七の説話が収められている。この本ではそこから三十の説話が選ばれている。どこの国にもある、「利他的であれ」という教訓的な説話である。意外性は全くないが、「天下一の弓の名人」の曲芸的射的など面白い描写もある。
 「あわてウサギ」における、一匹の兎の勘違いが引き起こすパニックなど、現代のネット社会でよくある話だし、「オオカミの断食」における、オオカミのすぐに揺らぐ決意など身に詰まされる。何千年経っても人間はあまり変わらない。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://castela.asablo.jp/blog/2023/11/25/9637402/tb