『現代思想 2020年2月号』から2022年08月10日 21:40

2021年10月28日記す。
 全卓樹「量子力学と現代の思潮」。
 「観測者をも含む世界全体の理解を潔く断念したコペンハーゲン思想は、別な見方をすれば、量子力学を世界の根本原理とはみなさず、物理学実験室での結果予想手順書として扱う、実質上の実用主義的な観点と解することもできる」(p.123)。
 波動関数確率解釈の発見者マックス・ボルンの言葉「絶対的な確信、絶対的な確実さ、最終的真理といったものは想像力の産物であって、科学のいかなる分野にあっても受け入れられないものだと、私は考えます。一方確率に関する主張は、それが基づく理論に応じて、正しくも誤りでもあり得るのです。この思考の緩和こそが、現代科学が我々に与えた最大の祝福だと、私には思えるのです。唯一の真実、そしてその所有者であるという信念は、世界の全ての悪の根本原因なのです」(p.131)。

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