マーガレット・アトウッド著『マッドアダム 上下』 ― 2025年10月09日 22:20
マッドアダム三部作の三作目。「謎のウイルスにより人類はほぼ絶滅し、地上は廃墟と化した。生き残ったのは一握りの人々と「理想」の人造人間クレイカー、そして残忍な凶悪犯たち」(カバー折り返し)というのが前作まで。
『マッドアダム』では、文明の崩壊した地上でサバイバルしていくコミュニティと、主人公の一人であるセブの生い立ちの回想が、並行して語られる。兄アダムと弟セブの兄弟は、父親の虐待を逃れて姿を晦ます。セブがそのハッキングの才能を生かして闇社会で生き延びていく一方、アダムは新たな教団の教祖となっていた。
現実の世界では、電気も機械もない中で、蜜蜂を飼い始めるなど様々な工夫をして生活を充実させようとする。知能は高いが必ずしも誠実とは言えない人間たちだが、ぎくしゃくするところもありながらもコミュニティを持続させていく。対照的に疑いを知らない無垢な種族であるクレイカーたち。
やがて、コミュニティを襲撃しようとする凶悪犯たちとの決戦の時がやってくる。コミュニティに味方するのは、意外なことに遺伝子改良で高知能化されたブタのピグーンたちだった。
著者はおそらく何らかの「再生の物語」を描きたかったのではなかろうか。小松左京の『復活の日』みたいな。つまり希望を。人間には絶望しているけど、クレイカーやピグーンのような新たな種族を登場させることによって希望をつなごうとしたのかもしれぬ。
俺が面白かったのは、クレイカーの子供が初めて文字を見るところ。最初のうちはそれが「言葉」であることを信じないが、離れたところにいる人間に自分の名前を書いた紙を見せたら、自分の名を言ったので驚愕する。クレイカーの子供たちは文字を学ぶことに夢中になるが、文字を教えた人間のトビーはそれは間違いではなかったかと考える。文字を知ることによって、クレイカーたちは人間と同じ過ちへの道を進み始めるのではないかと。
『マッドアダム』では、文明の崩壊した地上でサバイバルしていくコミュニティと、主人公の一人であるセブの生い立ちの回想が、並行して語られる。兄アダムと弟セブの兄弟は、父親の虐待を逃れて姿を晦ます。セブがそのハッキングの才能を生かして闇社会で生き延びていく一方、アダムは新たな教団の教祖となっていた。
現実の世界では、電気も機械もない中で、蜜蜂を飼い始めるなど様々な工夫をして生活を充実させようとする。知能は高いが必ずしも誠実とは言えない人間たちだが、ぎくしゃくするところもありながらもコミュニティを持続させていく。対照的に疑いを知らない無垢な種族であるクレイカーたち。
やがて、コミュニティを襲撃しようとする凶悪犯たちとの決戦の時がやってくる。コミュニティに味方するのは、意外なことに遺伝子改良で高知能化されたブタのピグーンたちだった。
著者はおそらく何らかの「再生の物語」を描きたかったのではなかろうか。小松左京の『復活の日』みたいな。つまり希望を。人間には絶望しているけど、クレイカーやピグーンのような新たな種族を登場させることによって希望をつなごうとしたのかもしれぬ。
俺が面白かったのは、クレイカーの子供が初めて文字を見るところ。最初のうちはそれが「言葉」であることを信じないが、離れたところにいる人間に自分の名前を書いた紙を見せたら、自分の名を言ったので驚愕する。クレイカーの子供たちは文字を学ぶことに夢中になるが、文字を教えた人間のトビーはそれは間違いではなかったかと考える。文字を知ることによって、クレイカーたちは人間と同じ過ちへの道を進み始めるのではないかと。
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