大谷亨著『中国の死神』 ― 2025年10月15日 22:08
中国の死神、つまり死者の魂を持ち去るものである「無常」という神についての解説書。著者の博士論文を一般向けにリライトしたものだが、文章はユーモラスで読みやすい。また、中国での調査の様子を寄稿エッセイとして描いた「無常珍道中」はさらにコミカルである。
無常という神と妖怪の中間のような存在そのものの面白さもさることながら、文献と現地調査による取材、取材した資料の整理、抽出されたデーから見えてくる関係性を考察するという、文化研究の過程が具体的に記されているところが興味深かった。
最初は上位の神々から命令されて人間の魂を取ってくるだけの無個性な役人のような存在だった無常(このころはまだ無常の名は付いていない)が、似たところのある他の妖怪の影響を受けて、変化していき、現在のある程度権威がある神へと昇格していく過程を著者が推測している。
地域による無常の形態の変化や、祭り方の多様性が非常に面白い。俺にとっては何よりも、これまで知らなかった道儒仏以外の中国の民間信仰の一端が垣間見えたことが収穫だった。
無常という神と妖怪の中間のような存在そのものの面白さもさることながら、文献と現地調査による取材、取材した資料の整理、抽出されたデーから見えてくる関係性を考察するという、文化研究の過程が具体的に記されているところが興味深かった。
最初は上位の神々から命令されて人間の魂を取ってくるだけの無個性な役人のような存在だった無常(このころはまだ無常の名は付いていない)が、似たところのある他の妖怪の影響を受けて、変化していき、現在のある程度権威がある神へと昇格していく過程を著者が推測している。
地域による無常の形態の変化や、祭り方の多様性が非常に面白い。俺にとっては何よりも、これまで知らなかった道儒仏以外の中国の民間信仰の一端が垣間見えたことが収穫だった。
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