奥泉光著『虚傳集』2025年04月28日 22:21

 短編集。題名の通り、各作品は日本史上の架空の人物や組織について描かれている。面白いのは、小説や伝記の形式をとっていないことである。現存する(架空の)資料を挙げ、そこから史実を推測する、研究評伝の形式をとっている。この形式だけである程度面白い。
 取り上げられる(創作される)のは、歴史の主筋とはちょっと逸れたところで生きた、すごく変な人たちである。敵を欺くことを主眼に置いた剣術流派、石を投げ打つ術を極めた一族、張型で有名になった仏師などなど。俺が好きなのは、雷神すなわち電気の研究に取り憑かれた男を語る「江戸の錬金術師」である。
 「瑞軒は「雷神」を己が身の裡に文字どおり捕らえようとした」(p.151)。

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