レアード・ハント著『ネバーホーム』 ― 2021年11月28日 23:54
19年11月24日読了。
今年一番の魅力的な主人公。素晴らしい。教育のない田舎娘なのだが、インテリジェンスとは別の意味での賢さを持っている。南北戦争が最も激しい時期のアメリカ、農民のコンスタンスは病弱な夫に代わって男装し、アッシュと名乗って兵役に就く。
戦場のアッシュは、夫と愛の籠った手紙を交わすが、隊を抜けだす機会があってもなぜか家へは帰ろうとしない。愛国心のためでもなく、戦場を楽しんでいるわけでもない。アッシュの動機がどんな物なのかが、読者の興味を惹き付ける謎の一つと成る。
物語の中盤で、スパイの嫌疑をかけられ瘋癲院に閉じ込められるまで、アッシュはおおむね立派な兵士として活躍し、上官の大佐にも認められる。瘋癲院を抜け出して、家へと帰る旅が後半である。
物語の最後で、アッシュことコンスタンスは読者には意外な告白をする。これをどう解釈するかは読者次第である。訳者あとがきで示唆されているように、俺はこれを虚偽と見る。アッシュはその前にも一度だけ虚偽の告白をしている。瘋癲院で椅子に縛り付けられて拷問を受けたときである。作品中の言葉を使うならこの時のアッシュは「こわがる心に見つけられて」いたのであろう。
無教養な女が書いた文章という原文の雰囲気を出すため、訳文は平仮名が多用され、語彙もごく平易、文法が怪しく、山下清を連想させる。この文章について読書メーターで「どこか鋭く野蛮」と書いている人が居て感心させられた。
何しろアッシュのチャーミングさにやられた一冊であった。
今年一番の魅力的な主人公。素晴らしい。教育のない田舎娘なのだが、インテリジェンスとは別の意味での賢さを持っている。南北戦争が最も激しい時期のアメリカ、農民のコンスタンスは病弱な夫に代わって男装し、アッシュと名乗って兵役に就く。
戦場のアッシュは、夫と愛の籠った手紙を交わすが、隊を抜けだす機会があってもなぜか家へは帰ろうとしない。愛国心のためでもなく、戦場を楽しんでいるわけでもない。アッシュの動機がどんな物なのかが、読者の興味を惹き付ける謎の一つと成る。
物語の中盤で、スパイの嫌疑をかけられ瘋癲院に閉じ込められるまで、アッシュはおおむね立派な兵士として活躍し、上官の大佐にも認められる。瘋癲院を抜け出して、家へと帰る旅が後半である。
物語の最後で、アッシュことコンスタンスは読者には意外な告白をする。これをどう解釈するかは読者次第である。訳者あとがきで示唆されているように、俺はこれを虚偽と見る。アッシュはその前にも一度だけ虚偽の告白をしている。瘋癲院で椅子に縛り付けられて拷問を受けたときである。作品中の言葉を使うならこの時のアッシュは「こわがる心に見つけられて」いたのであろう。
無教養な女が書いた文章という原文の雰囲気を出すため、訳文は平仮名が多用され、語彙もごく平易、文法が怪しく、山下清を連想させる。この文章について読書メーターで「どこか鋭く野蛮」と書いている人が居て感心させられた。
何しろアッシュのチャーミングさにやられた一冊であった。
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