犬怪寅日子著『羊式型人間模擬機』 ― 2026年03月02日 22:20
中編。第十二回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作品。人物の名前からすると日本のようだが、地域も時代もはっきりしない、広大な領地の大きな屋敷に住む一族の物語。一族の男子は死に際して羊に変身する。毛を刈る家畜の羊だ。そして一族の者はその羊の肉を食べる風習というか掟がある。解体作業を担うのは、世代を超えて一族に仕え続ける一体のアンドロイド。数世代にわたる一族の物語が、このアンドロイドの視点で語られる。アンドロイドには「不完全な感情」のようなものがあるが、自分でそれを持て余しているようである。山尾悠子を連想させる幻想小説であり、俺はガルシア・マルケスの『百年の孤独』をちょっと思い出した。
俺の最も好きなエピソードは「嫁取り」の話である。一族は外部から配偶者を迎えるにあたっては、婿ならば娘の父親が、嫁ならば息子の母親が自由に選ぶという決まりがある。一族の歴史においては、地図に矢を刺すなど乱暴な選び方をする者もあった。自らも義母に選ばれて嫁となった日向は、自分の金を盗んだ浮浪児の少女を息子の嫁にしようとする。日向と少女の間の緊張感が良い。やがて一族に嫁いだ少女が生む四人の子供たちもみな面白い個性を持っていて魅力的である。
選考では神林長平が強力に推したという。
俺の最も好きなエピソードは「嫁取り」の話である。一族は外部から配偶者を迎えるにあたっては、婿ならば娘の父親が、嫁ならば息子の母親が自由に選ぶという決まりがある。一族の歴史においては、地図に矢を刺すなど乱暴な選び方をする者もあった。自らも義母に選ばれて嫁となった日向は、自分の金を盗んだ浮浪児の少女を息子の嫁にしようとする。日向と少女の間の緊張感が良い。やがて一族に嫁いだ少女が生む四人の子供たちもみな面白い個性を持っていて魅力的である。
選考では神林長平が強力に推したという。
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