古川日出男著『京都という劇場で、パンデミックというオペラを観る』 ― 2024年08月23日 22:03
長編。パンデミックを経験した著者が、それをもとにしたオペラを書く、その着想と執筆の過程が描かれる一種のメタフィクション。後半では、オペラそのものが書かれているが、形式は戯曲ではなく小説なので、登場人物たちが突然歌いだしたりしてコミカルである。オペラの主な登場人物は、現代に甦った小野篁と紫式部、そして二島由紀夫と名乗る現代の青年である。名前から判るようにニシマ青年は三島由紀夫にかぶれていて、パンデミック後の今、再び金閣を放火しようと企んでいる。紫式部はヨガと水汲みを日課にしている。
著者はオペラを通じて、パンデミック、日本史、世界史、人類史を重ね合わせようというアクロバティックなことを試みる。例えば、中世ヨーロッパに広がった黒死病(ペスト)はモンゴル軍がもたらしたという説をとり、元寇の際、日本はモンゴル軍とともにペストを阻止したのだ、というような説が展開される。もちろん、世界史日本史を問わず繰り返される戦争と殺戮の歴史も重ね合わされ、それはホモ・サピエンスによるネアンデルタール人の絶滅という人類史にも適用される。
また、資本主義社会で人々の間をめぐる貨幣の流れを輪廻に譬え、つまり輪廻しながら増殖しようとする貨幣を霊魂に譬え、人に憑きながら増殖しようとする性質は感染症にもあると更に譬えを重ねる。この辺りは理論的というより直感的で、ほとんど類感呪術である。さよう、人類は呪われているのである。祟りの元はネアンデルタールまで遡る。
著者はオペラを通じて、パンデミック、日本史、世界史、人類史を重ね合わせようというアクロバティックなことを試みる。例えば、中世ヨーロッパに広がった黒死病(ペスト)はモンゴル軍がもたらしたという説をとり、元寇の際、日本はモンゴル軍とともにペストを阻止したのだ、というような説が展開される。もちろん、世界史日本史を問わず繰り返される戦争と殺戮の歴史も重ね合わされ、それはホモ・サピエンスによるネアンデルタール人の絶滅という人類史にも適用される。
また、資本主義社会で人々の間をめぐる貨幣の流れを輪廻に譬え、つまり輪廻しながら増殖しようとする貨幣を霊魂に譬え、人に憑きながら増殖しようとする性質は感染症にもあると更に譬えを重ねる。この辺りは理論的というより直感的で、ほとんど類感呪術である。さよう、人類は呪われているのである。祟りの元はネアンデルタールまで遡る。
コメント
_ かすてら ― 2024年08月24日 21:15
ところで、類感呪術はジェームズ・フレイザーの概念だが、対になる概念は感染呪術である。……あっ。
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