佐藤究著『幽玄F』2024年08月01日 22:05

 長編。子供のころから飛行機に取りつかれていた易永透は、航空宇宙自衛隊の戦闘機パイロットになる。しかしある時、超音速で航行中に透明で巨大な蛇の幻覚を見てから原因不明の体調不良に陥り、辞職するのだが、やがて、運命のいたずらで再び最新鋭の戦闘機に巡り合うことになる。
 著者の作品は『テスカトリポカ』しか読んだことがないが、本書との共通点として、主人公のある種の「無垢さ」があると思う。世間的な善悪や社会性とは無縁なのだが、自分の興味や問題意識に忠実で、ある意味では「筋が通っている」のである。しかしその特殊な「純粋さ」は主人公を幸福にはしない。
 もう一つの共通点として、両書とも、描かれた出来事が、合理的なものとも神秘的なものとも解釈できる、ということがある。偶然か神秘か。案外現実とはそういうものかもしれない。
 「SFが読みたい!」では、航空機のメカや飛行の描写から「戦闘妖精・雪風」を連想しているが、俺が本書を読みながら連想したのは『かもめのジョナサン』である。

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