養老孟司 名越康文著『「他人」の壁』2021年08月04日 16:26

19年 3月 7日読了。
 対談。
 養老「人と人がわからなくていいという意味は、本質的にわかるはずがないということもあるんだけど、そのほうが、折り合いがつきやすいという意味もあるんですよ。わからないほうがうまくいく。別に全部がわからないからといって、その人が何か大変な事件を起こすこともないでしょう。(略)やることの大体はわかっているわけですから。別にわからなくても、日常の中でことは進んでいきますから」(p.9)。
 「『わかる方法』じゃなくて『わからない理由』を先に言ってしまうと、多くは前提が違うからです」(p.11)。
 「外国へ行っていいところは、通じないという前提からはじまることです」(p.26)。
 連歌のオリジナリティは場の雰囲気が出すということについて「詩人の大岡信さんから聞いたのですが、彼は外国の詩人の人たちと『連歌』ならぬ『連詩』をやったそうなんですが、外国人は最初、ものすごく戸惑うそうですよ。なぜなら、外国人は詩というものを、自己の考えを凝縮した表現だと理解しているでしょう」(p.30)。
 「やっぱり、『わかる』とか『気づく』の処方箋は、感覚を磨けってことだからさ、答えを言ってしまうと。それにはできるだけ、多様な状況に身を置くことがいいんで」(p.46)。
 「臨床心理の河合隼雄さんが、カウンセリングの秘訣は何ですかと人から聞かれるたびに、『相槌の打ち方ですな』といつも言っていました」(p.84)。
 「だって、さっきも言ったように、メルケルが『難民は全部受け入れる』と言ったりとか、トランプに反対したりとか、それらは一種の原理主義ですよ。現状を冷静に分析した上で言っているわけじゃない」(p.164)。
 「そのときに、しょうがないから、僕が昔よく思ったのは、『俺は世直しのために生まれたわけじゃねえ』ってこと。もう1つは、『世間は俺より前からあるんで、俺の都合でできているわけじゃねえ』って」(p.201)。

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