伊藤典夫編訳『SF&ファンタジー・ショートショート傑作選 吸血鬼は夜恋をする』 ― 2024年06月22日 21:35
海外ショートショートアンソロジー。半世紀前に出版されたものに追加収録したもので、最も古い作品は一九三二年、最も新しい作品でも一九六九年発表。古い作品なので全体に素朴な印象。具体的には、筋立てに捻りがなく直線的で、細部の考証もやや雑な感じ。素朴だからつまらないとか物足りない作品もあるが、その素朴さが今そのまま読んで面白い作品もある。そしてもちろん年寄りのノスタルジーを刺激するところもある。若者にはわからない面白さである。ざまあ見ろ。
俺が一番好きなのはロバート・F・ヤング「魔法の窓」。道端で自作の絵を売っている少女がいる。その星空の下の湿原を描いた絵を購入した主人公。少女が「ここから見た風景を描いた」と言って示す窓の向こうには、隣の建物の煉瓦の壁があるばかり。
俺が一番好きなのはロバート・F・ヤング「魔法の窓」。道端で自作の絵を売っている少女がいる。その星空の下の湿原を描いた絵を購入した主人公。少女が「ここから見た風景を描いた」と言って示す窓の向こうには、隣の建物の煉瓦の壁があるばかり。
エレン・ダトロウ編『シャーリイ・ジャクスン・トリビュート 穏やかな死者たち』 ― 2024年06月28日 22:23
シャーリイ・ジャクスンという作家のことはよく知らない。それなのになぜこのアンソロジーを読んだのかと言えば、ケリー・リンクをはじめとして名だたる幻想文学作家が寄稿しているからである。序文によれば、編者は収録作品にジャクスン作品の焼き直しは求めなかったという。「わたしが求めたのは、寄稿者がジャクスンの作品のエッセンスを自作にとり入れること、彼女と同種の感受性を発揮すること」(p.10)。
俺がこの本を読み終えて思ったのは、恐怖の源である邪悪や怪異と直面しない話が多いな、ということである。それらは雰囲気として曖昧に、しかしすぐそばに感じられるのである。それがなぜそこにあるのかも判らない。例えば因果応報というような関係性も判らずに、ほとんど不条理に気配だけが主人公を追い詰めていく。
表題作は、ある殺人事件をきっかけに人の出入りを遮断封鎖した村の話。封鎖したにもかかわらず、村では人が次々に死んでいく。連続殺人事件なのか、別々の犯人による独立した事件なのか、あるいは事故なのか呪いなどの超自然現象なのか、最後まで判らないまま、ただ人々がばたばたと死んでいくのである。
俺がこの本を読み終えて思ったのは、恐怖の源である邪悪や怪異と直面しない話が多いな、ということである。それらは雰囲気として曖昧に、しかしすぐそばに感じられるのである。それがなぜそこにあるのかも判らない。例えば因果応報というような関係性も判らずに、ほとんど不条理に気配だけが主人公を追い詰めていく。
表題作は、ある殺人事件をきっかけに人の出入りを遮断封鎖した村の話。封鎖したにもかかわらず、村では人が次々に死んでいく。連続殺人事件なのか、別々の犯人による独立した事件なのか、あるいは事故なのか呪いなどの超自然現象なのか、最後まで判らないまま、ただ人々がばたばたと死んでいくのである。
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