柴田元幸編著『「ハックルベリーフィンの冒けん」をめぐる冒けん』2021年12月14日 21:55

20年 1月19日読了。
 『ハックルベリー・フィンの冒けん』に関するエッセイや書評、続編など。この本のためにレアード・ハント、レベッカ・ブラウン、スティーヴ・エリクソンの書き下ろしエッセイが収録されているという豪華さ。
 「登場人物が『変な』英語を話すだけならともかく、語り手まで一貫して標準的でない英語を300ページ以上喋り続ける小説は前代未聞だった。(略)しかもそれが、語り手の無知を表すギャグなどではなく、独自のユーモア、音楽性、叙情につながっているところがすごい」(p.15)。
 「『さみしい』とハックが言うとき、彼が感じているのは否定的な孤独感、孤立感というより、社会から離れて自然のなかに独り在ることへの豊かな両面感情であるように思える。あえて言えば、死を恐れつつも死に惹かれているような心性が、この一語に凝縮されている」(p.44)。
 『ハック・フィン』から編集段階で削除された「ジムのユウレイばなし」と、多くの版で省かれているという「筏のエピソード」はどちらも傑作。

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