古川日出男著『ミライミライ』 ― 2021年10月07日 21:38
19年 6月21日読了。
歴史改変小説。戦後、講和実現のため、日本がインドと連邦国家を形成するという設定。読みどころはしかし「ある時一匹の熊が一人の人間の身代わりとなって死に、それが奇妙な因縁を形作って、未来に影響を与え続ける」処であろう。
第二次世界大戦後、日本は本州以南をアメリカが、北海道をソ連が占領していた。朝鮮のように分断される事を避けるため、日本はインドと融和して連邦国家を創る。インドにも思惑が在った。カシミールにおいて国境問題を持つ中国を挟み撃ちにできる。こうして、沖縄をアメリカに、北海道をソ連に占領された「印日連邦・日本州」が誕生する。
亜大陸と日本の交流も深まりそれなりに巧くいっていた連邦制度だが、インドが核兵器を保有したときに亀裂が生じる。
鱒淵いずる大佐は終戦後も北海道で抗ソ武力闘争を続けていた。東西冷戦が深まる中アメリカから資金援助が在った。闘争は娘の鱒淵てふに受け継がれ、ソ連が消滅するまで続けられる。
てふの息子は六歳のとき、闘争に巻き込まれて死んだ少年の身代わりとなり、名を澤太伊知と変え別人になった。成長した太伊知は、日本、アメリカ、ロシア、インド、アイヌの文化的影響を受けた新しいヒップホップ音楽の流れを作り出す。太伊知のバンドは世界的な影響力を持つが、ある時メンバーの一人が誘拐される。誘拐犯の要求は「日本に核兵器を配備せよ」。これは政治的な事件であり、いかに世界的な人気があるとは言え、音楽家にすぎない太伊知達は無力に見えた。しかし。
小説はこのように時系列には語られず、過去と未来を行き来しながら断続的並行的に展開する。「むかしむかし」と語り出された物語は、やがて「みらいみらい」と語られ、そして「今」と成る。
多くの人が幻視する、コロポックルと熊人間。バンドのDJの妹は「映画の巫女」と成り、あらゆる映画の編集前の断片である「第○(ゼロ)の映画」を夢に見る。そこにも熊人間が主人公として登場する。
鱒淵いずる大佐が死に際して時間旅行を行う事を除けば、物質的には極端に神秘的な事、超自然的な事は余り起こらない。しかし、夢や幻視は時間を越えた啓示を人々に与え、行動を変化させる。
歴史改変小説。戦後、講和実現のため、日本がインドと連邦国家を形成するという設定。読みどころはしかし「ある時一匹の熊が一人の人間の身代わりとなって死に、それが奇妙な因縁を形作って、未来に影響を与え続ける」処であろう。
第二次世界大戦後、日本は本州以南をアメリカが、北海道をソ連が占領していた。朝鮮のように分断される事を避けるため、日本はインドと融和して連邦国家を創る。インドにも思惑が在った。カシミールにおいて国境問題を持つ中国を挟み撃ちにできる。こうして、沖縄をアメリカに、北海道をソ連に占領された「印日連邦・日本州」が誕生する。
亜大陸と日本の交流も深まりそれなりに巧くいっていた連邦制度だが、インドが核兵器を保有したときに亀裂が生じる。
鱒淵いずる大佐は終戦後も北海道で抗ソ武力闘争を続けていた。東西冷戦が深まる中アメリカから資金援助が在った。闘争は娘の鱒淵てふに受け継がれ、ソ連が消滅するまで続けられる。
てふの息子は六歳のとき、闘争に巻き込まれて死んだ少年の身代わりとなり、名を澤太伊知と変え別人になった。成長した太伊知は、日本、アメリカ、ロシア、インド、アイヌの文化的影響を受けた新しいヒップホップ音楽の流れを作り出す。太伊知のバンドは世界的な影響力を持つが、ある時メンバーの一人が誘拐される。誘拐犯の要求は「日本に核兵器を配備せよ」。これは政治的な事件であり、いかに世界的な人気があるとは言え、音楽家にすぎない太伊知達は無力に見えた。しかし。
小説はこのように時系列には語られず、過去と未来を行き来しながら断続的並行的に展開する。「むかしむかし」と語り出された物語は、やがて「みらいみらい」と語られ、そして「今」と成る。
多くの人が幻視する、コロポックルと熊人間。バンドのDJの妹は「映画の巫女」と成り、あらゆる映画の編集前の断片である「第○(ゼロ)の映画」を夢に見る。そこにも熊人間が主人公として登場する。
鱒淵いずる大佐が死に際して時間旅行を行う事を除けば、物質的には極端に神秘的な事、超自然的な事は余り起こらない。しかし、夢や幻視は時間を越えた啓示を人々に与え、行動を変化させる。
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