吉田知子著『お供え』2019年09月11日 23:09

14年11月26日読了。
 短編集。表題作では、一人暮らしの未亡人の家の前に毎日花が置かれる。気味悪く思った未亡人は何とか犯人を見つけてやめさせようとするが。「祗樹院」では、初めて来た場所なのに何故か克明な記憶があり、主人公は混乱していく。日常の世界から徐々に不条理な世界へ入り込んで行き、抜け出そうとするほど深みに嵌まっていく、というのが基本パターン。抜け出せない迷子の悪夢。古い大きな家や田舎の集落、何かの儀式を行う大勢の人々といった土俗的雰囲気。記憶や時間の錯綜も繰り返される。発表された当時この言葉はなかった筈だが、マジックリアリズムである。また、主人公が、今なら引き返せる、とか、今断った方が良いと思いながらそうしないのも特徴。狂っていくのが主人公なのか世界の方なのか判らないのが何とも無気味。

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