奥泉光著『雪の階』2021年06月01日 23:07

18年11月 1日読了。
 形式としては推理小説だが、事件の謎解きの部分は、俺がミステリーファンでない事を勘案しても、あんまり面白くない。タイトルと時代設定から、二二六がらみで展開するのだろうという予測も読み始めてすぐに付く。が、本書の面白さはそういう処に在るのではない。
 興味を惹かれるのは、主人公惟佐子の見る予知夢や、惟佐子の伯父白雉博允の一種の超人思想など、神秘的な部分だ。
 そして、本書最大の魅力は、惟佐子のエキセントリックな人格設定である。世俗の事に興味がない、上流階級の娘だが、知性が高く囲碁と数学が趣味という、浮き世離れした性格。人の心が判らないという訳ではないが、判った上で突き放した言動を取ったりする。つまり、他人に対して冷淡。興味の在り所が人並みではなく、その事に自覚的。セックスは好きだが恋愛には興味がなく、自分の結婚も些事と思っている。
 神秘的な展開から、著者得意のロンギヌス物質物に成っていくのかと思いきや……。兄妹の霊能力対決にしても良かったような気もする。

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