『J・G・バラード短編全集1時の声』 ― 2021年01月01日 14:44
17年 7月13日読了。
バラードの短編全集だが、年代順に収録しているので第一巻は一九六一年以前に発表された物だが、それほど古い感じはしない。「待ち受ける場所」「時の声」「深淵」などに見られる、滅びや終末に対する否定でも肯定でもなく、単純な敗北や諦めでもない奇妙な折り合いの付け方が興味深い。イメージや構成が独特で、まだちょっと読めていない感じがする。時間を置いてもう一度読むべきかも知らぬ。
バラードの短編全集だが、年代順に収録しているので第一巻は一九六一年以前に発表された物だが、それほど古い感じはしない。「待ち受ける場所」「時の声」「深淵」などに見られる、滅びや終末に対する否定でも肯定でもなく、単純な敗北や諦めでもない奇妙な折り合いの付け方が興味深い。イメージや構成が独特で、まだちょっと読めていない感じがする。時間を置いてもう一度読むべきかも知らぬ。
ガレス・L・パウエル著『ガンメタル・ゴースト』 ― 2021年01月02日 14:46
17年 7月16日読了。
舞台はイギリスとフランスが統合されて一つの王国と成った近未来。人格転写技術を巡る王妃の陰謀から逃亡する皇太子と、事件に巻き込まれた元ジャーナリスト、技術開発に伴う実験で高知能化された猿のアクアク・マカーク、三人の視点で物語は進む。筋立ては単純な冒険活劇。人格転写技術を扱っているが、自己同一性の問題などに深入りしないのは、猿の単純故に力強い性格に救われているからであろう。国際法上自治権を有する巨大飛行船が登場する。面白い設定だが余り効いていない感じ。
舞台はイギリスとフランスが統合されて一つの王国と成った近未来。人格転写技術を巡る王妃の陰謀から逃亡する皇太子と、事件に巻き込まれた元ジャーナリスト、技術開発に伴う実験で高知能化された猿のアクアク・マカーク、三人の視点で物語は進む。筋立ては単純な冒険活劇。人格転写技術を扱っているが、自己同一性の問題などに深入りしないのは、猿の単純故に力強い性格に救われているからであろう。国際法上自治権を有する巨大飛行船が登場する。面白い設定だが余り効いていない感じ。
グレッグ・イーガン著『アロウズ・オブ・タイム』 ― 2021年01月03日 14:55
17年 7月20日読了。
「直交」三部作完結巻。今回は時間が主題。時を超えて過去へ情報を伝える技術が開発される。過去側では知らされた情報と矛盾する未来は選択できない。矛盾しない範囲で最悪の事態を避けるという奇妙な計画が開始される。予め決定された「結果」に対して、より良い「原因」を作ろうという試み。今回も醍醐味は相対論パズルだが、ジェンダーの問題を全て生物学医学的な技術で解決しようとする処も興味深い。科学者や技術者の多くが誠実で、政治家の殆どが不誠実なのも面白い。
「直交」三部作完結巻。今回は時間が主題。時を超えて過去へ情報を伝える技術が開発される。過去側では知らされた情報と矛盾する未来は選択できない。矛盾しない範囲で最悪の事態を避けるという奇妙な計画が開始される。予め決定された「結果」に対して、より良い「原因」を作ろうという試み。今回も醍醐味は相対論パズルだが、ジェンダーの問題を全て生物学医学的な技術で解決しようとする処も興味深い。科学者や技術者の多くが誠実で、政治家の殆どが不誠実なのも面白い。
ケイト・ウィルヘルム著『翼のジェニー』 ― 2021年01月04日 16:41
17年 7月22日読了。
表題作もなかなか良かったが、解説で「トワイライト・ゾーン的」という言い方で評された、曖昧さを残す幻想作品が俺好みである。「決断のとき」「一マイルもある宇宙船」「この世で一番美しい女」の三編。最も長い「エイプリル・フールよ、いつまでも」も面白い。表題作はちょっと感傷的なロマンティックな作品だが、「灯かりのない窓」に端的に表れている皮肉で冷徹な態度こそが作者の本領ではないかと思われる。
表題作もなかなか良かったが、解説で「トワイライト・ゾーン的」という言い方で評された、曖昧さを残す幻想作品が俺好みである。「決断のとき」「一マイルもある宇宙船」「この世で一番美しい女」の三編。最も長い「エイプリル・フールよ、いつまでも」も面白い。表題作はちょっと感傷的なロマンティックな作品だが、「灯かりのない窓」に端的に表れている皮肉で冷徹な態度こそが作者の本領ではないかと思われる。
『ちくま日本文学全集 中島敦』 ― 2021年01月05日 16:46
17年 7月26日読了。
何と言っても「名人伝」が最も好きだが、「文字禍」も大変に面白い。全体としては「山月記」や「悟浄出世」に見られる、本来の自分に直面する事を望みながら恐れ、過剰な自意識の屈折で自縄自縛と成った主人公を描く、というのが特徴であろう。そして全体に満ちる滑稽感。
何と言っても「名人伝」が最も好きだが、「文字禍」も大変に面白い。全体としては「山月記」や「悟浄出世」に見られる、本来の自分に直面する事を望みながら恐れ、過剰な自意識の屈折で自縄自縛と成った主人公を描く、というのが特徴であろう。そして全体に満ちる滑稽感。
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