河合隼雄 加賀乙彦 山折哲雄 合庭惇著『宗教を知る人間を知る』 ― 2020年09月06日 20:42
16年10月11日読了。
河合「日本語には非常に便利な言葉があって、『理解』とは別に、『納得』という表現があります。『理解』は頭がするものですが、『納得』は身体性を帯びた表現で、もっと明快なのは、『腑に落ちる』とか『腑に落ちない』という言葉です」(p.45)。
「そこで、日本では何が大事になってくるかというと、神の教え、あるいは神の戒律を守ることではなく、全体的にいかに調和しているかです。調和というのは、むしろ美的判断に近いものです」(p.64)。
河合「日本語には非常に便利な言葉があって、『理解』とは別に、『納得』という表現があります。『理解』は頭がするものですが、『納得』は身体性を帯びた表現で、もっと明快なのは、『腑に落ちる』とか『腑に落ちない』という言葉です」(p.45)。
「そこで、日本では何が大事になってくるかというと、神の教え、あるいは神の戒律を守ることではなく、全体的にいかに調和しているかです。調和というのは、むしろ美的判断に近いものです」(p.64)。
河合隼雄 中沢新一著『仏教が好き!』 ― 2020年09月07日 21:34
16年10月12日読了。
中沢「たしかに現実の世界にあるのは厳然たる非対称の現実です。人間のほうが何と言ったって技術を持っているから、動物に対して優位に立っています。現実にはたしかに動物を圧倒しているわけですが、それでも思考の中ではそれは正しくない状態で、宇宙のなかにこんなふうに発生してしまった非対称を、何とか思考によって正そうとして、神話というものはつくられてきたんだというのが、レヴィ=ストロースの考えです」(p.22)。
「いまはもう実現できなくなってしまったし、昔だってそういうことはあり得なかったし、未来にもおこらないだろうけれども、そういう時間を思考によってつくり出そうとするのが神話だ。そういう神話と仏教の思考はとても近いところにあるんじゃないかという直感ですね」(p.22)。
「仏教ほどカタルシスのない宗教はありません」(p.58)。
量子論のマトリックス理論と曼陀羅の類推など大変に面白かった。
中沢「たしかに現実の世界にあるのは厳然たる非対称の現実です。人間のほうが何と言ったって技術を持っているから、動物に対して優位に立っています。現実にはたしかに動物を圧倒しているわけですが、それでも思考の中ではそれは正しくない状態で、宇宙のなかにこんなふうに発生してしまった非対称を、何とか思考によって正そうとして、神話というものはつくられてきたんだというのが、レヴィ=ストロースの考えです」(p.22)。
「いまはもう実現できなくなってしまったし、昔だってそういうことはあり得なかったし、未来にもおこらないだろうけれども、そういう時間を思考によってつくり出そうとするのが神話だ。そういう神話と仏教の思考はとても近いところにあるんじゃないかという直感ですね」(p.22)。
「仏教ほどカタルシスのない宗教はありません」(p.58)。
量子論のマトリックス理論と曼陀羅の類推など大変に面白かった。
『河合隼雄著作集10日本社会とジェンダー』 ― 2020年09月08日 21:35
16年10月14日読了。
「とりかえばや、男と女」などを収録。「オーストラリアのアボリジニにとっては、人であろうと、ものであろうと、ドゥワとイリチャという二つの分類項目のいずれかに分類されてしまう。そうして、イリチャ同士、ドゥワ同士は結婚できないなどの規則がそこに存在していて、ひとつの秩序が構成されるようになっているという」(p.7)。
深層心理学の方法について「ある客観的事実をできるかぎり、そのまま伝達しようとするのではなく、こちらの主観の動き(ムーブ)を相手の心の中に起こす、というようなコミュニケーションを試みなくてはならない。それはどれだけ正確に伝わったかと言う事が問題になるのではなく、どれほど相手にとって意味ある動きを生じせしめたか、ということが焦点となってくる」(p.13)。
「とりかえばや、男と女」などを収録。「オーストラリアのアボリジニにとっては、人であろうと、ものであろうと、ドゥワとイリチャという二つの分類項目のいずれかに分類されてしまう。そうして、イリチャ同士、ドゥワ同士は結婚できないなどの規則がそこに存在していて、ひとつの秩序が構成されるようになっているという」(p.7)。
深層心理学の方法について「ある客観的事実をできるかぎり、そのまま伝達しようとするのではなく、こちらの主観の動き(ムーブ)を相手の心の中に起こす、というようなコミュニケーションを試みなくてはならない。それはどれだけ正確に伝わったかと言う事が問題になるのではなく、どれほど相手にとって意味ある動きを生じせしめたか、ということが焦点となってくる」(p.13)。
斎藤敦夫著『哲夫の春休み』上下 ― 2020年09月09日 22:11
16年10月15日読了。
『トムは真夜中の庭で』『時の旅人』などと同じく、少年が過去へと旅する物語。タイム・ファンタジーと呼ぶらしい。主人公の少年は、小学校卒業後の春休みに父の故郷である長岡に一人旅をし、そこで時を超えて過去の父や祖母、曾祖母などの人々に出会う。
例に揚げた二冊に比べると構築性が低く断片の羅列の印象。登場人物の一人の抑圧されていた記憶が顕に成る挿話など、神話的な死と再生の主題にも通じる筈だが、そこまで深まらずにあっさり通り過ぎてしまう。主人公が秘めていた葛藤も然りである。
舞台は作者の故郷なので郷愁が強過ぎて、充分な距離が取れていない感じ。作家の誠実さは伝わってくるが、全体に登場人物の言動がもう一つ不自然と言うかぎこちない。俺は「役作り」と呼ぶが、人物造型が不十分なのかも知れない。母親の過去を明らかにしたい娘と、人の秘密を無理に暴きたくない主人公が言い争う処は、どちらの気持ちも良く判り良い場面であった。
『トムは真夜中の庭で』『時の旅人』などと同じく、少年が過去へと旅する物語。タイム・ファンタジーと呼ぶらしい。主人公の少年は、小学校卒業後の春休みに父の故郷である長岡に一人旅をし、そこで時を超えて過去の父や祖母、曾祖母などの人々に出会う。
例に揚げた二冊に比べると構築性が低く断片の羅列の印象。登場人物の一人の抑圧されていた記憶が顕に成る挿話など、神話的な死と再生の主題にも通じる筈だが、そこまで深まらずにあっさり通り過ぎてしまう。主人公が秘めていた葛藤も然りである。
舞台は作者の故郷なので郷愁が強過ぎて、充分な距離が取れていない感じ。作家の誠実さは伝わってくるが、全体に登場人物の言動がもう一つ不自然と言うかぎこちない。俺は「役作り」と呼ぶが、人物造型が不十分なのかも知れない。母親の過去を明らかにしたい娘と、人の秘密を無理に暴きたくない主人公が言い争う処は、どちらの気持ちも良く判り良い場面であった。
マージェリー・シャープ著『ミス・ビアンカ くらやみ城の冒険』 ― 2020年09月10日 21:18
16年10月16日読了。
何時もの事ながら海外児童文学は挿絵が素晴らしい。後半に成ると、冒険に於いては無能と思われていたミス・ビアンカが目覚ましい活躍をするが、俺としては、前半の、無能な者が奇妙な偶然に依って次々と危機を擦り抜け成功を収める、という喜劇形式が楽しかった。ミス・ビアンカが会議場への地図を描こうとして帽子の絵を描いてしまう挿話は傑作である。
何時もの事ながら海外児童文学は挿絵が素晴らしい。後半に成ると、冒険に於いては無能と思われていたミス・ビアンカが目覚ましい活躍をするが、俺としては、前半の、無能な者が奇妙な偶然に依って次々と危機を擦り抜け成功を収める、という喜劇形式が楽しかった。ミス・ビアンカが会議場への地図を描こうとして帽子の絵を描いてしまう挿話は傑作である。
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