ジュディ・バドニッツ著『イースターエッグに降る雪』2020年04月01日 18:35

16年 2月10日読了。
明示はされていないがおそらくは東欧と思われる深い森の中で生まれ、アメリカに渡ったイラーナの戦前戦中戦後に渡る生涯を描く。不思議な事が沢山起るのだが、幻想や不条理は強調されない。マジックリアリズム的手法。
 寧ろ酷く奇妙に感じるのは、イラーナと娘や孫達の心理である。酷く歪み不健全に感じるのに、何故か理解でき共感できる。それぞれに違った世界観を持ち、違う現実を見ている。ここまで来れば「確かな一つの真実てなもなねえんだ」という処まで後一歩なのだが、誰もが他者の現実を受け入れようとはしない。
 「それから、突き破って進むんだよ。だって結局紙に描いた背景なんだからね」(p.414)。

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