トンケ・ドラフト著『ふたごの兄弟の物語』上下2024年01月07日 22:33

 岩波少年文庫。舞台は架空の王国バビナ国。時代は古代と中世の間くらい。文化は欧州風である。貧しい家に生まれた双子の兄弟ラウレンゾーとジャコモは、見た目は見分けがつかないほどの瓜二つだが、性格は対照的で、兄のラウレンゾーは貴金属細工師に弟子入りして真面目に修行するが、弟のジャコモは旅や冒険が大好き。
 物語は、ふたごが活躍する十二のエピソードで構成される。ミステリの形式の話が多い。つまり、何か事件が起こり、双子が探偵役となって真相を解明する。しかし、俺がミステリファンでないためもあって、例外のミステリでない話が面白い。例えば、第九話「ティラニア国の王」では、船旅で難破した双子が、漂着した島の国で、争いを治めるために王様にさせられる。
 いずれの話でも、双子が瓜二つであることを利用したトリックや、勘違いが効果的に使われている。著者はオランダ人の女性作家だが、シェイクスピアが好きなようだから、『間違いの喜劇』の影響もあるのかもしれない。ややこしや。

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