ブライアン・エヴンソン著『ウインドアイ』2021年04月06日 22:42

18年 5月12日読了。
  二十五編が収められた短編集。どれもこれも救いのない話ばかり。罪のない人達に不条理な悲劇。結末もなく謎が解明されないまま終わる話が多い。放り出されるような終わり方。統合失調症の典型の一つだが、主体が奪われる話も目立つ。そして全編に満ちる喪失感。
 表題作は、ある時突然妹が消えてしまうのだが、母親も含めて周囲の人は妹は最初から居なかったという。
 「溺死親和性種」は、逆に記憶にない弟を捜し続ける話。何かをはっきりさせようとするほど、世界は分解し何も判らなく成っていく。

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