メアリー・ノートン著『野に出た小人たち』2020年04月03日 21:48

16年 2月15日読了。
 小人達の話が始まるまでの導入部が、年老いたトムと幼いケイトの交流が描かれていてなかなか良い。小人達の冒険は一種のサバイバルだが、一見頑に見えるホミリーが奇妙な柔軟さを見せるのが面白い。どうするのが正解という解答が見出せずに、迷いを残したまま終わるのも児童文学らしくなくて面白い。迫りくる冬という問題を解決するのが小人達の努力や知恵ではなく、ある種の偶然であるのは、ちょっとカタルシスが弱いが、努力が報われないのも児童書らしくない。小人達を救う少年は前巻にも出て来たが、二人共、単純に純真で善良な理想化された子供ではなく、子供らしい利己心も持っている処はなかなかリアル。

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