酉島伝法著『宿借りの星』 ― 2022年03月07日 22:05
20年 8月10日読了。
長編。久し振りに面白い小説であった。その天体には、嘗て人間の末裔が植民していたが、星の地下から現れた異形の生物達によって、滅ぼされた。今では、その異形の生物達が、国のような物を創りさまざまな形態の種族が独自の社会を作って生活していた。罪をおかして祖国を追われたマガンタラは、滅んだはずの人間達が、思いも寄らぬ方法で復活し、この天体を支配しようとしていること知る。危機を脱するため、マガンダラは帰れば死刑と言い渡されている祖国へと戻って行く。
と、筋立ては典型的な冒険活劇だが、設定は異様である。まず、主な登場人物達が人間ではない。四肢、六肢の外骨格、あるいは体内にガスを溜めて飛行する全翼形態の知的生物達。種族毎に異なる言語を話すために、翻訳をする「介語」生物の百舌、国の中心をなす巨大生物「御侃彌(おかんみ)」など、奇怪な生物達が複雑にからまり合って、一つの生態系をなしている。その辺りのイメージが最大の読み処。
また、人間を滅ぼしてしまった後は無為に生きているように見える、これらの異形種族がどのように発生したのか、という謎も読者を惹き付ける。奇怪な外見に比して、主人公達の性格は愛らしく、その落差も楽しい。俺はイーガンに対して「生理の全く違う生き物が、精神構造は人間と同じで不自然」と文句を言うが、この作品ではそれは気に成らない。ハードSFではないからであろう。
長編。久し振りに面白い小説であった。その天体には、嘗て人間の末裔が植民していたが、星の地下から現れた異形の生物達によって、滅ぼされた。今では、その異形の生物達が、国のような物を創りさまざまな形態の種族が独自の社会を作って生活していた。罪をおかして祖国を追われたマガンタラは、滅んだはずの人間達が、思いも寄らぬ方法で復活し、この天体を支配しようとしていること知る。危機を脱するため、マガンダラは帰れば死刑と言い渡されている祖国へと戻って行く。
と、筋立ては典型的な冒険活劇だが、設定は異様である。まず、主な登場人物達が人間ではない。四肢、六肢の外骨格、あるいは体内にガスを溜めて飛行する全翼形態の知的生物達。種族毎に異なる言語を話すために、翻訳をする「介語」生物の百舌、国の中心をなす巨大生物「御侃彌(おかんみ)」など、奇怪な生物達が複雑にからまり合って、一つの生態系をなしている。その辺りのイメージが最大の読み処。
また、人間を滅ぼしてしまった後は無為に生きているように見える、これらの異形種族がどのように発生したのか、という謎も読者を惹き付ける。奇怪な外見に比して、主人公達の性格は愛らしく、その落差も楽しい。俺はイーガンに対して「生理の全く違う生き物が、精神構造は人間と同じで不自然」と文句を言うが、この作品ではそれは気に成らない。ハードSFではないからであろう。
堀晃他『GENESIS 創元日本SFアンソロジー1 一万年の午後』 ― 2022年03月08日 21:15
20年 8月14日読了。
SF短編アンソロジー。一番期待していたのは芥川賞を取った高山羽根子で、やはりというか、なかなか面白かったのだが、意外にもと言ったら失礼なのだが、倉田タカシ「生首」が抜群に面白かった。この本一冊の価値は「生首」に出会えたことにあると言っても過言ではない。
主人公にだけ見える生首が落ちてくる。単なる幻ではないらしく、音だけは他の人にも聞こえる。語り手である主人公の性別も年齢も最後までわからない。筋立ては紹介しても意味はない。シュールなイメージの羅列が圧倒的に面白い。
「むかしはね、斬首には、コピー用紙の端をつかったのよ」「こう考えてみませんか。あなたは、池に落ちたどんぐりだったのです。もちろん、比喩的な意味で、ですよ。現実には、あなたは休火山の火口に落ちた手負いのアナグマでした」「むかしむかし、あるところに、ところで、あるところとは、どんなところだと思いますか?」「わたしがいまのアパートへ越してきたのは、それまで住んでいたところが鰐だらけになったからだった」
目茶苦茶である。素晴らしい。
SF短編アンソロジー。一番期待していたのは芥川賞を取った高山羽根子で、やはりというか、なかなか面白かったのだが、意外にもと言ったら失礼なのだが、倉田タカシ「生首」が抜群に面白かった。この本一冊の価値は「生首」に出会えたことにあると言っても過言ではない。
主人公にだけ見える生首が落ちてくる。単なる幻ではないらしく、音だけは他の人にも聞こえる。語り手である主人公の性別も年齢も最後までわからない。筋立ては紹介しても意味はない。シュールなイメージの羅列が圧倒的に面白い。
「むかしはね、斬首には、コピー用紙の端をつかったのよ」「こう考えてみませんか。あなたは、池に落ちたどんぐりだったのです。もちろん、比喩的な意味で、ですよ。現実には、あなたは休火山の火口に落ちた手負いのアナグマでした」「むかしむかし、あるところに、ところで、あるところとは、どんなところだと思いますか?」「わたしがいまのアパートへ越してきたのは、それまで住んでいたところが鰐だらけになったからだった」
目茶苦茶である。素晴らしい。
草上仁著『5分間SF』 ― 2022年03月09日 22:04
20年 8月18日読了。
ショートショート集。草上仁の短編は安心して読める。ショートショートだから皮肉な結末の話が多いわけだが、「ユビキタス」などロマンチックな結末のものが意外と面白い。
ショートショート集。草上仁の短編は安心して読める。ショートショートだから皮肉な結末の話が多いわけだが、「ユビキタス」などロマンチックな結末のものが意外と面白い。
草上仁著『7分間SF』 ― 2022年03月10日 21:50
20年 8月19日読了。
ショートショートと呼ぶか短編と呼ぶが迷う長さの作品集。異星人や未来人の奇妙な文化や生理を扱ったものが目立つ。結末の予想が着くとつまらない場合もあるが、「カツブシ岩」や「ラスト・メディア」は、思った通りに成ることが気持ち良い。変なカタルシス。もちろん、草上仁らしい意外で皮肉な結末のものも面白い。
ショートショートと呼ぶか短編と呼ぶが迷う長さの作品集。異星人や未来人の奇妙な文化や生理を扱ったものが目立つ。結末の予想が着くとつまらない場合もあるが、「カツブシ岩」や「ラスト・メディア」は、思った通りに成ることが気持ち良い。変なカタルシス。もちろん、草上仁らしい意外で皮肉な結末のものも面白い。
高原英理著『エイリア綺譚集』 ― 2022年03月11日 21:37
20年 8月20読了。
幻想文学短編集。鉱物、結晶、月、星、夢、夜、夏、少年少女、世界改変、書物、詩といったモチーフが美しくもグロテスクに描かれる。「青色夢硝子」「憧憬双曲線」「石性感情」のそれぞれに違う「変調された時間感覚」の描写が特に面白かった。
幻想文学短編集。鉱物、結晶、月、星、夢、夜、夏、少年少女、世界改変、書物、詩といったモチーフが美しくもグロテスクに描かれる。「青色夢硝子」「憧憬双曲線」「石性感情」のそれぞれに違う「変調された時間感覚」の描写が特に面白かった。
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