東京大学教養学部編『東大授業ライブ』2021年07月01日 22:08

18年12月23日読了。
 東京大学教養学部で行っている公開講座「高校生のための金曜特別講座」の内容。このような講座が始まるきっかけとして、大学の新入生が、受験技術に偏った学習をしていて、大学生として必要な教養が身に付いていない、ということからそれを補うような講義を、ということもあったらしい。試験の内容や選抜方法にも問題があろうが、その話をし出すと、そもそも大学は何をする所かという面倒な議論に成るのでしない。
 判り易い講義も、高校生にはちょっと無理かなという内容もある。ちょっと判らないくらいが知的刺激に成る場合もあるので一概に悪いとも言えないのが難しい処である。
 乳酸は疲労物質ではなくエネルギー源である、という話が面白かった。

東京大学教養学部編『高校生のための東大授業ライブ 学問への招待』2021年07月02日 22:21

18年12月25日読了。
 東京大学教養学部が開いている公開講座「高校生のための金曜特別講座」の内容の一部を纏めた物。収められた十六講の中では「観光人類学入門」が割と面白かった。バリ島の観光化についての講義だが、必ずしも一般に思われているように「観光化は伝統文化を破壊する」物ではない、という話。

東京大学教養学部編『高校生のための東大授業ライブ 学問からの挑戦』2021年07月04日 21:40

18年12月27日読了。
 東大駒場キャンパスで行われている公開講座「高校生のための金曜特別講座」から。「笑って考える少子高齢社会」で、二〇一四年に受理された婚姻届に対する離婚届の割合は35%と知る。「今どき結婚をするというのは、全盛期のイチロー相手にマウンドに上がるピッチャーみたいに恐ろしいことなのです」(p.66)。

中島敦 神西清 石川淳 芥川龍之介 森鴎外著『新編 日本幻想文学集成9』2021年07月05日 22:03

19年 1月 9日読了。
 A5版ハードカバーで八百頁を超える大きくて重い本。辞書のようである。これで全巻読んだ。
 中島敦は「山月記」よりも「弟子」よりも「李陵」よりも、「名人伝」と「文字禍」が好きである。奇妙でユーモラスな処が良い。こんな話ばかり百も二百も読みたい。
 神西清の「わが心の女」は、どうも以前にアンソロジーか何かで読んだような記憶があるが、ナンセンスでなかなか良かった。
 石川淳は今回初めて読んだ「かくしごと」の結末が哀れにも健気にも思えて良かった。「紫苑物語」の収録されていないのが残念と言えば残念。
 芥川龍之介は、掌編だが「じゅりあの・吉助」がちょっと良かった。「トロッコ」は名作とされるが、俺はそれほどと思わない。橋本治の解説に依れば、私小説が主流と成った文壇に芥川はいじめ殺されたのだそうである。
 森鴎外は歴史文学の作家と思われがちだが、意外にも寓話的な作品が多い。「寒山拾得」など教訓のなさが良い。「寿阿弥の手紙」は、江戸末期の寿阿弥という人物とその周辺について調査した実録だが、鴎外の執拗な性格が判って面白い。但し、俺のように歴史に疎い者には、調査内容自体は退屈である。

養老孟司著『考える読書』2021年07月06日 21:34

19年 1月10日読了。
 再読。書評と言うか読書禄。「自分の一生は一度しかなく、すべての瞬間はふたたび戻ることはない。そうした不可逆の時間のなかで、一回限りの決定をするとき、その根拠となるものが『倫理』である。定義により、それは法やマニュアルのような、一般的なルールとは折り合わない。一回限りの事象、それを『決定する』判断に、本来的には一般性はない。しかしそこに『ある一般性』をあえて想定するとき、倫理という言葉が成立する。そうした一回生を描きながら、しかも一般的であるもの、それがもともと文学なのである」(p.53)。