『ちくま日本文学全集 梅崎春生』 ― 2022年01月18日 21:15
20年 3月17日
「Sの背中」や「ボロ屋の春秋」のユーモアが良い。同じ人間の愚かさを描いても、落語には人間への愛情が感じられるが、梅崎春生の文章には、どこか突き放したような処が在る。本当に人間が嫌いなら、こんなに事細かに描写できるはずはないが、どこかしら悪意というか、嘲る感じが在る。自分を含めた人間への自嘲のような物かも知れない。
戦後すぐに書かれた作品に多く見られる事だが、悲観的というか、閉塞的というか、この先どんどん悪くなるだろうという行き詰まった感じが満ちている。食べる物にも事欠く敗戦国の状況に、高度経済成長の予感もない。
「Sの背中」や「ボロ屋の春秋」のユーモアが良い。同じ人間の愚かさを描いても、落語には人間への愛情が感じられるが、梅崎春生の文章には、どこか突き放したような処が在る。本当に人間が嫌いなら、こんなに事細かに描写できるはずはないが、どこかしら悪意というか、嘲る感じが在る。自分を含めた人間への自嘲のような物かも知れない。
戦後すぐに書かれた作品に多く見られる事だが、悲観的というか、閉塞的というか、この先どんどん悪くなるだろうという行き詰まった感じが満ちている。食べる物にも事欠く敗戦国の状況に、高度経済成長の予感もない。
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