宮内悠介著『ヨハネスブルグの天使たち』2019年05月01日 00:10

14年 3月10日読了。
人間に対して、絶望し切れない人達の話。ロボットの設定は面白い。もっと生かせなかった物か。

藤井太洋著『Gene MAPPER-Full build-』2019年05月01日 22:41

14年 3月14日読了。
筋立てが素直過ぎる気もするが、展開の速さが疾走感を生んでいるので良いのかも知らぬ。生い立ちの特殊さ故か黒川さんばかりが深く人物造型されていてバランスが悪い。敵側にももっと魅力的な人物が欲しい処。設定や小道具が楽しく、気になるほどの破綻や不整合がなくて良い。

野崎まど著『Know』2019年05月03日 01:24

14年 3月15日読了。
情報と知性を扱った思弁系SF。山田正紀の「神物」や「エヴァンゲリオン」が好きな人には面白かろう。これも随分あっさりした筋立てだな。やたら枝葉を広げるよりは良いけど。もう少し活劇が多くても良かった。思弁的なアイデアと絡めるのが難しいか。ハードSFじゃないんだから目くじら立てる事じゃないのだが、重要な設定の一つである「情報材」が情報を受信し流し発信するエネルギーがどこから来るのか良く判らない。

梨木香歩著『家守綺譚』2019年05月03日 21:17

14年 3月17日読了。
連作集。素晴らしい。不可思議な者たちが、不可思議さを主張せずに淡々とそこに生きてある処が良い。「サルスベリのやつが、おまえに懸想をしている」。

菅浩江著『誰に見しょとて』2019年05月04日 21:09

14年 3月21日読了。
連作短編、主題は化粧。化粧の事は全く知らないが、抑圧としての面と開放としての面がある事は判った。それと並行して自力か他力かという二律背反。SFに出て来るサイボーグというのは先端技術に依る身体改造で機能を拡張する物だが、美を一つの機能と捉えればその拡張としての身体改造というのは当然出て来るのであろう。連作形式だが、物語の中心と成る事業を押し進める母娘には、動機の処で感情移入できない。進化や文明の流れとしてその先にある物は…という理屈は判るけど、その狂おしいばかりの情熱はどこから来るの。俺もそういう事に浪漫を感じぬつまらぬ大人に成ってしまったか。個人的な趣味としては化粧の呪術としての側面をもっと書いて欲しかった。