柴田元幸編訳『アメリカ幻想小説集 どこにもない国』2022年01月06日 21:59

20年 3月 2日読了。
 現代アメリカ幻想文学アンソロジー。ピーター・ケアリー「“Do You Love Me?”」とレベッカ・ブラウン「魔法」が好きかな。
 「“Do You Love Me?”」は、いつとも知れない時代のどことも知れない国が舞台。あるとき突然、建物や人間が消え始める。「必要とされていない物、愛されていない物」が消えるのだとも言われるが真相は分からない。息子に対して愛されるような事は何もしなかった父親と息子の葛藤が面白い。
 「魔法」は、金属製の甲冑に身を包み、決して素肌を見せない女に拉致された女性の物語。衣食住に不足はなく、労働を強制されるわけでもないが、決して自由ではない「生温い奴隷」のような状態に押し込められる。
 スティーヴン・ミルハウザー「雪人間」も割と面白かった。その冬、素朴な雪だるまではない、異様に精緻で写実的な雪の人形が作られ始め、その町全体に流行する。

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