アストリッド・リンドグレーン著『はるかな国の兄弟』2021年04月19日 21:44

18年 6月 7日読了。
 『ミオよ わたしのミオ』の感想では、何となく死の匂いがする、と言ったが、この作品でははっきりと主人公と兄の死から始まる。二人は別世界に転生するのだが、やはり、これは虚構ではないかと、薄らと推測される。二人の生前、障害のある弟を元気付けるために兄が語った死後の世界そのままだからである。
 結末を言ってしまうが、最後、二人はこの世界でも死ぬ。そしてまた別の世界への今一度の転生を予感させて終わる。死とは虚構世界への転生なのであろうか。ならば、現実も虚構の一つに過ぎないのか。いや、これはメタフィクション好きが自分の興味に引き付け過ぎた読み方だな。
 ここは異世界だが、後半になって竜が出て来るまでは神秘的な魔法のような事は何も起こらない。古代から中世くらいの人達の現実的な営みが描かれるのも特徴の一つ。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://castela.asablo.jp/blog/2021/04/19/9368975/tb