。劉慈欣著『三体3 死神永生』上下2022年10月29日 21:45

2022年 7月31日読了。
 三巻目はワイドスクリーンバロック。これでもかとアイデアが詰め込まれている。時代も数百年後の未来から宇宙の終わりまで。主人公の宇宙科学技術者・程心(チェン・シン)は、二巻目の主人公・羅輯(ルオ・ジー)と比べるとキャラクターが弱いが、彼女の役割は物語を駆動することではなく、視点人物となって読者を導くことである。
 程心は人工冬眠を繰り返しながらはるか未来へと旅する。三体人との決戦に備え、人類のスパイを送り込む計画、宇宙空間に残る高次元空間の名残「四次元のかけら」、暗黒森林攻撃から身を守るために光速を遅くして太陽系をブラックホールの内側に包み込む計画などなど、稀有壮大なアイデアが惜しげもなく繰り出される。そして時空と知性の果てを妄想するのはSFの醍醐味の一つである。

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