宝樹(バオシュー)著『時間の王』2022年10月13日 22:21

2022年 6月17日読了。
 短編集。中国SF界期待の新人だそうだが、日本や欧米のSFに慣れた目から見ると、素朴でやや古臭い感じは否めない。だからつまらないという意味ではない。いや、まあ、確かに退屈なところは多いけど。収録作はすべて時間テーマ。エンターテインメントのタイムトラベルものもあるが、思弁的な主題も扱う。
 「穴居する者たち」は食虫類から未来の人類まで、穴居性の哺乳類の数億年にわたる居住の在り方を描く。「成都往時」は、過去へとさかのぼるタイムトラベラーと不老不死の男のすれ違いの物語。特に表題作は、人間の意識と時間をという主題を扱っていて、今後の深化が期待できる。
 退屈、というのは、登場人物がやや魅力を欠くのと、構成が下手。同じ形式の繰り返しが多く、話が単調になりがち。

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