ロバート・マックロスキー著『ゆかいなホーマーくん』2022年05月17日 21:38

2021年 1月12日読了。
 連作。児童文学としては、主人公に特徴がないが、登場する大人たちが皆少し抜けているのに対して、ホーマーくんはいつも冷静で、物が良く見えている。
 発表されたのは一九四三年だが、自動化したり、量産化したりする近代文明に対して批判的な視線も注がれている。「ドーナツ」では、ドーナツの自動調理器が暴走して、ドーナツの製造が止まらなくなり、「進歩の車輪」では、規格化された住宅が一度に百も建てられたため、入居者が自分の家か判らなくなる。
 面白いのは、児童文学であるにもかかわらず、あるいはだからこそ、単純化して白黒に分けてどちらかを悪者にせず、近代文明の便利さや豊かさも認めている。案外、こういう児童文学作品は多く、作家が子供を馬鹿にしていないことがわかる。
 冒頭の「ものすごい臭気事件」にはスカンクが登場するが、主人公がそれにつけた名前が「アロマ」。楽しいネーミングセンスである。

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