『ちくま日本文学全集 川端康成』2022年01月21日 21:55

20年 3月23日読了。
 一冊の半分以上を長編「山の音」が占める。主人公の信吾は六十代の会社経営者だが、変に神経質で、状況を深読みしていらぬ心配をし過ぎる。そのくせ決断力はなく、問題を先送りにしがちである。例えば、娘を離婚させる決心が付かず、預った離婚届を何か月も鞄に入れて持ち歩いたりする。これでよく会社の経営ができる物だと思うが、仕事となるとまた違うのであろう。
 良く言われることだが、川端康成の作品には死の影が濃い。それも、日本的な穢れとしての死のイメージではなく、その死はどこか聖性を帯びている。

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