岸本佐知子著『ひみつのしつもん』2022年01月14日 21:56

20年 3月12日読了。
 妄想エッセイ集。今回も岸本節が冴え渡る。日常の「そんなことあるある」という出来事から、とてつもなく奇妙な処へと話が展開する。
 ダークマターについて「いったいどんなものなのだろう。何か、羊羹みたいなものが星と星のあいだをみっしりと埋め尽くしているようなイメージだ」(p.52)。
 桃の美味しさについて考えたあとで「というようなことについてつねづね考えているのだが、いざ桃を前にすると、そういう理性的な思考は瞬時に蒸発してしまう。桃を食べている最中に脳内を満たしているのは、ただ桃の味と匂いと食感と、あとは『桃だ! 桃だ! 桃だ!』『うひゃひゃひゃひゃ』という自分の叫び声だけだ」(p.67)。
 『スーパートリビア事典』からの引用「Yehoodi(イェフーディ)。ティッシュの箱の中に住んでいて、一枚取ると次の一枚を押し上げてくれる小人の名前」(p.174)。
 自分が書いた日記について「私は覚えていない、誰かが、『それはそうと』と言うたびに小声で『クレオソート』とつぶやく小人が頭の中に住んでいることに気づいたことを」(p.184)。

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