森見登美彦著『熱帯』2022年01月12日 21:50

20年 3月 9日読了。
 長編。最後まで読んだ者が居ないという謎の小説『熱帯』を巡る物語。実物も手元にはなく、それは読んだ人の記憶の中にしかない。『熱帯』を読んだことがある人たちは集まって、記憶を寄せ合い、その内容を再現しようとする。彼らはその作業をサルベージと呼ぶ。
 その小説を巡る奇妙なエピソードの数々が重なり合いながらずれながら展開する。『熱帯』は『千一夜物語』と深い関係があるらしい。失踪した作者を追うようにして、関係者達が消えていく。やがて物語は、『熱帯』の世界に入り込む。
 巻頭の「汝にかかわりなきことを語るなかれ/しからずんば汝は好まざることを聞くならん」は『千一夜物語』からの引用。

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