中村雄二郎著『哲学の現在』2021年10月17日 22:32

19年 7月22日読了。
 全編を通しては、近代の科学や資本主義、市民社会などによって分裂細分化していった物を、近代を通過した物としてもう一度融合して全体性を回復しよう、という構成に成っている。具体的な分裂とそれらの融合の方向しては次のようなものである。
 生きることと考えること→生きることの基礎付け、知識と智恵→日常性の言葉、見る・聞く・触る→共通感覚、想像と現実→創造力、意識と身体→主客の逆転、われとわれわれ→関係性・場所・役割、経験的知・科学的知・神話と魔術→知の全体性の回復、法律と習慣→合目的性の自覚、必要原理(物質的欲求)と交感原理(交流や共感)→秩序の解放と再生としての祝祭、そしてそれらの全てを歴史の全体性の中に重層的な時間として取り込むことを目指す。
 方法としては、正反合の弁証法なのだが、その西欧的な方法を使って、西欧的な近代を乗り越えようとしている処が面白い。

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