荒巻義雄著『もはや宇宙は迷宮の鏡のように』2021年03月27日 21:53

18年 4月 7日読了。
 白樹直哉シリーズ完結編。白樹直哉の臨終シーンから始まる冥界巡りの物語。最新の科学理論と心理学や神秘主義を、良く言えば縦横無尽に、悪く言えば滅多やたらに組合わせた、心霊宇宙論が展開される。
 未発見の心霊子とでも呼ぶべき素粒子が人間の魂の正体で、それが地球の周りを取り巻いて、霊的な「クラウド」を構成している、というのが骨子らしい。
 キーワードとしては、マラルメ、イェーツ、ユング心理学、特に共時性と元型、マニエリスム、グノーシス、新プラトン主義、ペンローズの量子脳理論など。人間はいずれ身体を脱して、霊的な融合体であるクラウドを構成する、というヴィジョン。
 主人公が死後の世界を巡り歩くという筋立てのためか、全体にとっ散らかって断片的な印象。もう少し、構造と言うか体系と言うか、骨太な作りが在った方が良かったのでは。
 マニエリスムとは、メインカルチャーがルネサンスからバロックに切り替わる時に現われたサブカルチャー、というのが俺の理解だが、当然メインがなければサブは成立しない訳で、メインからのサブの自立を目指しているのかな、という感じもした。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://castela.asablo.jp/blog/2021/03/27/9361244/tb