E・L・カニグズバーグ著『エリコの丘から』2021年01月20日 23:29

17年 9月13日読了。
 出出しは退屈な感じだった。同じ作者の『クローディアの秘密』や『ティーパーティの謎』に比べると主人公の子供達に魅力を感じなかったし、筋立ても構築性の低いファンタジーのように思えた。ところが、読み進むに連れて、子供達を導く女優の幽霊が大変に魅力がある事が判って来て嬉しく成る。筋立ても、中盤から高い構築性を見せ始める。流石カニグズバーグだな。
 主題的には、スターに成る事だけが表現者の幸福のように描かれているのが少々不服だが、表現する事自体の喜びなどを描こうとすれば主題が分裂してしまうのかも知れない。
 何しろ女優の幽霊の捻くれ具合が大変に宜しい。それも、世を拗ねて屈折しているのではなく、自分こそが正統的と信じている処が良い。

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