『養老孟司のデジタル昆虫図鑑』2020年07月02日 21:32

16年 7月 4日読了。
 デジタルスキャナで標本を読み取り、昆虫図鑑を作る試み。
 「生物多様性というと、生物の側にいろいろなものがあると、つい思ってしまう。そうだろうか。いろいろなものがあると、人間のほうが見分けるのではないか。それを見分ける能力、それを欠く人が増えると、世界は『文明化』する。それがいいことか、悪いことか、そんなことは知らない。しかし文明がなにかを失わせることは確かで、その中で間違いなく失われるものの一つがこうした『目』である。見る目のない人々に、いくら生物多様性の価値を説いても意味がない」(p.74)。
 「仮説を立て、同じを探す作業があってはじめて人間は世界を把握できる。その一方で、新しい違いをつねに感じて、既存の説をひっくり返す。どちらも欠かせない。違いを感じ、同じを定める。横着せずにそれを繰り返していかなければないけない。それだけのことなのだ」(p.116)。

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