ケヴィン・ウィルソン著『地球の中心までトンネルを掘る』2020年05月16日 17:17

16年 5月12日読了。
 何だか世間とずれちゃった人達が登場する短編集。ナンセンスやシュールに行かない処で踏み止まっているのが小気味良い。主人公達の行動はかなり奇妙だが、不思議な事に良く共感できる。「レンタル式の代理祖母」だの「瑣末で日常的な物ばかり集めた博物館」だの「最悪の予想ばかりをシミュレートするコンサルタント会社」など「現実にありそうでない、実にすっとぼけた仕事」(解説)が沢山登場して面白い。
 「今は亡き姉ハンドブック:繊細な少年のための手引き」が、形式上の冒険もあって俺好み。ちょっと説教臭い結末が付いている処が鼻に付かぬでもないが、判り易い結論が付いているのはエンターテインメントしては欠点ではない。
 殆どの作品で、孤独が主題と成っている。偶々そういう物に俺が当たっているだけかも知らぬが、最近の米文学はそればかりに見える。国全体が孤独をこじらせているのではなかろうか。日本はどうか。

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