『荒巻義雄メタSF全集第4巻 聖シュテファン寺院の鐘の音は』2020年05月11日 20:41

16年 5月 4日読了。
 表題作他、短編「ある晴れた日のウィーンは森の中にたたずむ」などを併録。『白き日旅立てば不死』の続編。前作では、現実世界に異界が入り込んでくる感じが無気味で面白かったが、今回はあっさり舞台が異界へと移ってしまう。異世界の構築が、例えば「柔らかい時計」や「トロピカル」に比べると薄っぺらいような気がするが、これは俺のマニエリスムやゴチック建築に関する知識の不足に依る物かも知れない。
 この異世界に住む一人の女性を追い求める、というのが主人公の行動原理なのだが、その狂おしさ、切迫感がもう一つ伝わって来なかった。ディレッタント的会話も利いていない感じ。異世界が本当にあるのか、主人公の妄想に過ぎないのか最後まで明確に成らない処は良かった。

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