かすてら読書録

16年 5月 1日読了。
　シュルレアリスム幻想小説版欧州案内。何時の間にか異世界に迷い込む感じや、現実が破れて異世界が顔を見せ始める感じの描写が面白い。裏世界が実在するのか主人公の狂気が見せた幻に過ぎないのか最後まで判らない処が良い。同じ事なのかも知れない。主人公が抑圧した過去から逃げ同時に追い求めるという構成はフロイト的だが、無意識的な異次元世界と意識的な現実世界の対立という面ではユング的である。