P.L.トラヴァース著『帰ってきたメアリー・ポピンズ』2020年03月14日 22:49

16年 1月10日読了。
 今回も様々に不思議な事が起こるが、最も不思議なのはいつも何も説明して呉れないメアリー・ポピンズその人の態度である。お洒落好きや居丈高など、趣味や性格ははっきりしているのに、何を目的にどういう基準で行動しているかとなるとさっぱり判らない。そこが大変に魅力的である。
 のらくら者の道化と愚かな王様を描いた「ロバートソン・アイの話」が気に入った。俺にしては教訓的な話しを好んだ物だが、説教臭くなくて好い感じである。
 普段、居丈高ではあっても人のする事に強く干渉しないメアリーが「ミス・アンドリューのヒバリ」では酷く攻撃的で、ミス・アンドリューをこてんぱんにやっつける。違和感を感じつつも面白い。
 バンクス家に赤ん坊が生まれる「新入り」は、前巻の「ジョンとバーバラの物語」の主題の繰り返し。他にも前巻の主題や構成の繰り返しが見られるが、緊張感が失われてだれる感じがないので好ましい。個々のイメージが面白く丁寧に作られているためであろうか。

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