スーザン・シャラー著『言葉のない世界に生きた男』2020年01月07日 21:17

15年 9月26日読了。
 耳が不自由で、27歳まで言葉を知らなかったメキシコの青年イルデフォンソ。言葉という概念すらない彼に、手話通訳者の著者は言葉を教えようと奮闘する。作中でもヘレン・ケラーの例を出しているが、言葉を獲得する、言葉という物の存在を知る瞬間は感動的である。
 イルデフォンソが言葉を獲得する以前の内面世界がどのような物であったか判らぬのがもどかしい。円城塔がそれについて(嘘八百を)書きそうな主題である。確か、多重共感覚者の内面世界を描いた短編があったと思うが。後日譚が知りたいが、そのような著書はないらしい。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://castela.asablo.jp/blog/2020/01/07/9199383/tb