円城塔著『シャッフル航法』2020年01月06日 16:24

15年 9月25日読了。
 短編集。アンソロジーで既読の作品が多いがまた読んだ。客観的世界はどのように構築されるか、という主題から、主観、認識、記述、解釈などの問題を扱った、と言うか遊んだ作品が多い。「客観という視点は存在しない」という事である。そこから、存在、普遍、連続性の揺らぎが生じる。そういう意味では神林長平に通じる処がある。最近のありきたりなSFなら量子力学の観測問題と繋げる処だが、それへの言及は意外なほど少ない。表題作と「φ」は記述の実験。どの作品も好きだが「存在しない犀」の「存在しなかった会話」を描いた「犀が通る」が印象深い。

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